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一般学生バトルロワイアル Part5

1 :名無し草:2010/03/12(金) 20:52:58
漫画やアニメ、小説等の一般生徒キャラクターを集めて
バトルロワイアルを開催してみる参加型リレー小説スレッドです。

専用したらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/11074/

まとめwiki
ttp://www11.atwiki.jp/akitobr

基本sage進行、テンプレは>>2以降


2 :名無し草:2010/03/12(金) 20:53:45
【大前提】
超能力者や魔法使いが派手に闘う華やかなバトロワパロディが主流になる中で
あえて原点回帰ということで全員が等しく特殊能力を持たない一般人であることを重視しました



舞台は大東亜共和国で、参加校は全て大東亜共和国にあるというif設定です
霊能力や魔法、現実離れした身体能力等のない世界観を想定して下さい(バトロワ原作に準拠)
よって、参加キャラクターも超常現象のない現代日本が舞台である作品のキャラのみです



【基本ルール】
全員で殺し合いをする。ゲームに参加するプレイヤー間での反則はない
ただし、この一般学生ロワイヤル特別ルールとして
『チーム戦』を導入
他校の参加者が全員死ねば、残り人数が複数でもプログラム終了
(最後まで生き残った学校が優勝)
優勝校の特典は今のところ生存と大東亜共和国総統色紙のみです。
【能力制限】
 基本、一切なし
 ただし、原作のギャグ描写はあくまでギャグということを頭に入れておくこと。
【支給品について】
 麻薬などの人格を改変するものは禁止

3 :名無し草:2010/03/12(金) 20:54:39
【スタート時の持ち物】
 衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許可。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。
 「地図」 → 禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム
(※政府は殺し合いをさせたいわけですから、そういうアイテムが多いことを忘れずに)



【作中での時期】
 12月クリスマス前です。

4 :名無し草:2010/03/12(金) 20:55:58
 卒業生:阪東秀人
高校三年:神楽、春日歩、榊、滝野智、美浜ちよ
     赤坂理子、伊藤真司、高崎秀一、三橋貴志
     桐島ヒロミ、坊屋春道、銛之塚崇
高校二年:一条かれん、沢近愛理、周防美琴、塚本天満
     鳳鏡夜、須王環、桑原鞘子、千葉紀梨乃
高校一年:伊藤誠、桂言葉、清浦刹那、西園寺世界
     栄花段十朗、川添珠姫、宮崎都
     加東秀吉、花澤三郎、宝積寺れんげ、藤岡ハルヒ
中学三年:川田章吾、杉村弘樹、七原秋也

【作中での時間表記】
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

5 :名無し草:2010/03/12(金) 20:57:58
参加者一覧



5/5【BAMBOO BLADE】(室江高校)
 ○栄花段十朗/○川添珠姫/○桑原鞘子/○千葉紀梨乃/○宮崎都
5/5【School Rumble】(矢神学院高校)
 ○一条かれん/○沢近愛理/○周防美琴/○塚本天満/○播磨拳児
5/5【あずまんが大王】※学校名不明
 ○神楽/○春日歩/○榊/○滝野智/○美浜ちよ
5/5【バトル・ロワイアル】(城岩中学/城岩学園)
 ○相馬光子/○川田章吾/○杉村弘樹/○七原秋也/○三村信史
5/5【School Days】(榊野学園)
 ○伊藤誠/○桂言葉/○加藤乙女/○清浦刹那/○西園寺世界
5/5【今日から俺は!!】(軟葉高校)
 ○赤坂理子/○伊藤真司/○高崎秀一/○田中良/○三橋貴志
5/5【クローズ】(鈴蘭高校)
 ○加東秀吉/○桐島ヒロミ/○花澤三郎/○阪東秀人/○坊屋春道
5/5【桜蘭高校ホスト部】(桜蘭高校)
 ○鳳鏡夜/○須王環/○宝積寺れんげ/○藤岡ハルヒ/○銛之塚崇
計 40人/40人


6 :名無し草:2010/03/12(金) 20:59:36
【書き手の注意点】

トリップ必須。荒らしや騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付け、専用したらばの予約スレにトリップ付きで予約してください。
無理して体を壊さない。
残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。


【読み手の心得】

好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
どうしても我慢できないときはどこかにある専用の場所でひっそりと思いのたけをぶちまけて下さい。
ロワスレの繁栄の為、できる範囲で作品には感想をお願いします。

【予約に関してのルール】

したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行います
予約期間は基本120時間です(日数に変換すると5日間)
予約時間延長(最大2日)を申請する場合はその旨を予約スレで報告
修正期間は審議結果の修正要求から最大2日(ただし、議論による反論も可とする)
予約時にはトリップ必須です。また、トリップは本人確認の唯一の手段となります。トリップが漏れた場合は本人の責任です。
予約破棄は、必ず予約スレで行ってください。
延長申請がない場合でも、再予約は最低1日待ってあげて下さい

7 :名無し草:2010/03/12(金) 21:02:18
【NGについて】
修正(NG)要望は、できれば名前欄か一行目にその旨を記述してください。
協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.荒し目的の投稿。
5.時間の進み方が異常。

上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×

・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
・ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
・修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。

修正要求ではない批判意見などを元にSSを修正するかどうかは書き手の自由です。
誤字などは本スレで指摘してかまいませんが、内容議論については「議論用スレ」で行いましょう。
「議論用スレ」は毒吐きではありません。議論に際しては、冷静に言葉を選んで客観的な意見を述べましょう。
内容について本スレで議論する人がいたら、「議論用スレ」へ誘導しましょう。
修正議論自体が行われなかった場合において自主的に修正するかどうかは、書き手の判断に委ねられます。
ただし、このような修正を行う際には議論用スレに一報することを強く推奨します

展開予想、ネガティブな感想、主観的な意見は「毒吐きスレ」でお願いします。毒は溜め込まずに発散しましょう。


8 :名無し草:2010/03/12(金) 21:06:40
5/5【BAMBOO BLADE】(室江高校)
 ○栄花段十朗/○川添珠姫/○桑原鞘子/○千葉紀梨乃/○宮崎都
2/5【School Rumble】(矢神学院高校)
 ●一条かれん/○沢近愛理/○周防美琴/●塚本天満/●播磨拳児
2/5【あずまんが大王】※学校名不明
 ●神楽/●春日歩/●榊/○滝野智/○美浜ちよ
3/5【バトル・ロワイアル】(城岩中学/城岩学園)
 ●相馬光子/○川田章吾/○杉村弘樹/○七原秋也/●三村信史
1/5【School Days】(榊野学園)
 ●伊藤誠/○桂言葉/●加藤乙女/●清浦刹那/●西園寺世界
3/5【今日から俺は!!】(軟葉高校)
 ●赤坂理子/○伊藤真司/○高崎秀一/●田中良/○三橋貴志
3/5【クローズ】(鈴蘭高校)
 ●加東秀吉/●桐島ヒロミ/○花澤三郎/○阪東秀人/○坊屋春道
4/5【桜蘭高校ホスト部】(桜蘭高校)
 ○鳳鏡夜/○須王環/○宝積寺れんげ/●藤岡ハルヒ/○銛之塚崇
計 23人/40人


9 :名無し草:2010/03/12(金) 21:10:09
テンプレ終了
次に代理投下入ります

10 :名無し草:2010/03/12(金) 21:12:37
金髪、短ランという出で立ちの高校三年生、三橋貴志は銃声を聞き付けると、
今まで寝ていた分を取り戻すべく、一気に無学寺から東崎トンネル付近まで走った。
ここからが三橋の頭脳(悪知恵)と身体能力の見せどころだ。

そろそろトンネル前へ到着というところで、三橋は一度足を止め、
銃を構えながら慎重に、トンネル付近へ近づいた。
しかし、そうしてトンネル周辺を窺う三橋の視界には、誰の姿も映らなかった。

「ハァ、ハァ、クソッ、誰もいねーな」

呼吸を整えながらゆっくりとトンネルの出入り口まで近づき、付近を調べてみたが、
先ほど聞きつけた銃撃戦を行っていた奴はもちろん、
銃撃戦の痕跡、例えば死体や血痕などを発見することはできなかった。
先ほど三橋が聞いた銃声は、ここから発せられてのではないのだろうか?
この島に来る前にも、やくざやマフィアなどとトラブルがあった三橋は、
銃声を聞くのも今回が初めてという訳ではなかったが、しかし聞き慣れている訳でもない。
音を聞いただけでは、正確な位置など分かるはずもなかった。

「トンネルの逆側か?」

実際、先ほど三橋が聞きつけた銃声は確かに今、三橋のいるこの場所から発せられたものだったのだが。
もっとよく探せば、弾痕の一つも発見できたのかも知れないが。
そんな事など知る由もない三橋は、場所が違ったのだと判断し、辺りを警戒しながらもトンネルへと入って行った。

(中には、誰もいねーみてーだな)

トンネルの中は電灯もついておらず薄暗かったが、それでも目を凝らせば、
前後からの明かりだけでも、中に人がいるかどうかくらいは分かる。


11 :金髪男子のコロシカタ編 :2010/03/12(金) 21:21:58
中に誰もいないことを確認した三橋は、素早くトンネル内を駆け抜けると、
トンネルの逆側の出口で足を止め、中から周囲を警戒した。
しかし、そちら側でも近くに人影は無く、三橋は少し拍子抜けしたような、ホッとしたような表情でトンネルを出る。
そして気を引き締め直すと、改めて銃撃戦の痕跡が無いかどうか、辺りを調べ始めた。

「あん?」

そして、三橋は草むらの中でそれを見つけた。
三橋は最初、それが何なのか、すぐには分からなかったが、
近寄ってみて、それが人だと分かった。
すぐに人だと分からなかったのは、三橋が鏡の中以外で金髪を見慣れていないからだろう。
三橋の住んでいる辺りで、三橋は「金髪の悪魔」と恐れられており、
そんな三橋に間違えられることと、三橋本人から不評を買うことを恐れて、
三橋の地元には金髪に髪を染める者がほとんどいないのである。

「チッ、真似しやがって」

そう言って、三橋は草むらの中で倒れている金髪の男――須王環を見下ろした。
しかし、環の金髪は同じ金髪でも、三橋のいかにも染めましたというゴワゴワとした感じの金髪とは違い、フワッとしていて柔らかそうだ。
それもそのはず、フランス人の母を持つ環の髪は、染めたのではなく地毛なのである。

「…………」

そんなことはさておき、三橋はこの倒れている金髪の男をどうするか考える必要があった。
まず、この男は軟葉高校の生徒ではない。
ならば、仕方なくとはいえ優勝を目指している三橋としては、
この男に死んでもらわなければならない。
見たところ、この男、息はあるし特に外傷もない。
何故意識が無いのかは不明だが、このまま放置していても死にはしないだろう。

12 :金髪男子のコロシカタ編 :2010/03/12(金) 21:23:13
三橋は、既に人を一人殺している。
だからと言って、人を殺すことに嫌悪や罪悪感が無くなったわけではないが、
少なくとも迷いは無いと思う。
さて、では殺すか。

しかし、問題はある。
なぜ三橋がこの場へやって来たのか。その理由は、銃声を聞き付けたからだ。
だが、草むらで倒れていたこの男は、銃も持っていなければ撃たれたのでもなさそうだった。
確定ではないが、この近くには他に銃撃戦を行った奴がいると考えるべきだろう。
三橋はそちらの方も気になっていた。

三橋の最終目的は、自分をこんなプログラムに参加させた政府に復讐することであり、
このプログラムで優勝を目指すのは、そのためにまず、この島を確実に脱出する必要があるためだ。
だが、できればこれ以上軟葉高校の仲間に死んで欲しくないという気持ちも確かにある。
そのためには、軟高以外で殺し合いに乗っている者を早いうちに全滅させ、
軟高の仲間達に危険が及ばなくなった上で、他校の連中を三橋が殺していくのが理想だ。

だから、殺し合いに乗っている奴が近くにいる可能性が高い以上、
そちらを優先したいという考えも、三橋の頭の中にはあった。
しかし、だからと言って、今、足元で倒れているこの男を見逃していいことにはならない。
もしここでこの男を見逃し、銃撃戦をしていた奴らを捜しに行ったとして、
後々この男が敵になるとも限らないし、プログラム終了まで身を隠してしまうとも限らない。
殺し合いに乗っていようがいまいが、他校の奴は殺せる時に殺しておくべきなのだ。

「うーむ」

三橋は、この男を殺すこと自体に迷いはないのだが、他にも問題はある。
先ほど銃撃戦を繰り広げていた奴が、まだこの近くにいる可能性が高いとなると、
今、三橋の手に握られているFN M1906小型拳銃。
これを使うわけにはいかない。


13 :金髪男子のコロシカタ編 :2010/03/12(金) 21:24:56
銃を撃ってしまうと、その音で銃撃戦をしていた奴に三橋の存在を知らせてしまうことになる。
そうすると、三橋は向こうの存在に気付いているが、向こうは三橋の存在に気付いていないというアドバンテージが無くなってしまうのだ。
それに、三橋が今持っている拳銃は装填弾数もそれほど多くない。
他にも武器が手に入っているのなら話は別だが、ただ倒れているだけの相手に銃弾を使ってしまうのは良い手とは言えない。

倒れている男の横には、男の物であろうデイバッグも転がっているが、
そのデイバッグを漁っている間に、男が目を覚ますとも限らないし、
まずは男を殺してしまうことが先決。デイバッグの中身を確認するのはその後だ。

さて、銃を使わないのであれば、どうやって殺すか?
三橋は、先ほど大阪(三橋は本名を知らないが春日歩)を撃ち殺したのが初めての殺人であり、
他の方法で人を殺すとなると、少し考えてしまう。
素手で殴るのでは、不確実だ。
鉄扇で殴るのでも、そう変わらないだろう。
十徳ナイフのナイフ部分を突き刺すか。
いや、しかし、多分だがこんなチャチなナイフで人を殺すには、
首を掻っ切るくらいの事はしないと駄目だろう。
だが、それでは返り血を浴びてしまう可能性が高い。
相手が抵抗してきたならまだしも、無抵抗の奴を殺す方法として、返り血を浴びてしまうような方法はあまり良くない。

もし今、返り血がベットリというような状態になったとする。
そうなると今後、軟高の仲間と再会することがあった時に面倒な事になるだろうし、
今の時点なら少なからずいるであろう、他校で殺し合いに乗っていない奴に対して、
騙し打ちを仕掛けるというような選択肢が消えてしまうことにもなる。


14 :金髪男子のコロシカタ編 :2010/03/12(金) 21:26:38
「あー、そういやー……」

そこで三橋の頭にある記憶が蘇った。
それは割と最近の出来事で、ある小物二人組とトラブった時のことだ。
小物のくせに、そいつらはヒキョーな手段で三橋を追い詰め、
なんと、シャレとはいえ三橋に頭を下げさせたのだ。
結局、その二人は直後に油断し、すぐに三橋の逆襲にあうこととなったのだが、
そのとき、頭に血が上っていた三橋はその内一人の首を絞めて殺しかけたのだった。
理子がいなかったら、そのまま殺人者になっていたかもしれないと、
ほんの少しだけ、冷や汗をかいたりもしたものだ。
そう、三橋はこの島に来るまで人を殺したことは無かったが、殺しかけた事はあったのだ。
今、理子は傍にいないし、あの時の再現をすれば、この倒れている男を殺すことが出来るだろう。
音を立てなることも無く、確実で、返り血なども浴びない方法だ。

「……ヨッシャ……ヤルか」

三橋はそう呟くと、もう一人の金髪――須王環の首に自分の腕を絡めた。
右腕は怪我をしているので左腕だ。
絞めるには首輪が少し邪魔だとも思ったが、構わず左腕を回すと右手でロックした。
そして、そのまま徐々に力を込めていく。

「……クッ」

しかし三橋が思った以上に、腕に力が入らない。
怪我のせいなどではない。
三橋は、多少の怪我で力が出せなくなるようなヤワな男ではない。
ただ、例の二人組の時は殺すつもりなど無かったが、その分怒りに身を任せていた。
しかし今は冷静に、殺すために無抵抗の相手の首を絞めている。
それを思うと、どうにも力が入らなかったのだ。
あの二人組の時とは状況が違った。違いすぎた。


15 :金髪男子のコロシカタ編 :2010/03/12(金) 21:27:57
「……っ、ウオオ!」

それでも、今さらやめるわけにはいかない。
三橋は己を鼓舞するように声を上げた。
すると、体がその声に反応したのか、今までよりは腕に力が入るようになってきた。
いいぞ。
このまま絞め続けろ。
そんな言葉を心の中で呪文のように唱えながら、三橋は奥歯を噛み締め、出来得る限りの力で絞め続けた。

「フンヌゥゥゥ!」

三橋がその体勢でしばらく首を絞めていると、突然相手の体がビクンビクンと何度か痙攣するように動いた。

「ウオッ!?」

少し驚いた三橋だったが、そのまま離れずに体重をかけて押さえつけ、さらに相手の首を絞め続けた。
人というものは、どれだけの間首を絞めていれば死ぬのか、三橋は知らなかった。
だから、相手が動かなってからもそのまま数分間は腕を放さなかった。

「…もう、いーか?」

それからおよそ三分後。
いや五分後かもしれない。
時間が嫌にゆっくりに感じ、三橋の体内時計は当てにならない状態だったので、
正確に何分後かは分からなかったが、だいたいそのくらい後。
やっと三橋はその相手から腕をはがして立ち上がった。
見下ろすと、その男の顔は絞められていた影響か変色し、呼吸は止まっているようだった。

16 :金髪男子のコロシカタ編 :2010/03/12(金) 21:29:21
「ふーっ」

三橋は視線を近くに転がっているデイバッグに移し、大きくため息をついた。
これ以上、自分が首を絞めていたその男を見ていると、気分が悪くなりそうだった。
視線を背けたまま三橋は、その男の物であろうデイバッグを掴むと、そのまま中身も確認せずに持ち去った。
ともかく、その場から離れたかったのだ。

「悪く思うんじゃねーぞ」

その言葉は背後へ向けて言ったのか、自分に向けていったのかは三橋自身にも分からなかった。

「……へっ」

今さらになって、首を絞めるにしてもズボンのベルトを使えばよかったんじゃないかとか、
ナイフでも使い方次第では返り血なんて浴びずに済んだんじゃないかとか、
そんな考えが三橋の頭に思い浮かんでいたが、しかし、これでよかったんだと思い直す。

優勝を目指すのなら、これから先、他に何人も殺さなければならないだろう。
そのためには、今の内に人を殺すことに慣れておく必要があった。
一人目を銃で撃ち殺し、二人目を自分の手で絞め殺したのだ。
この先、もう三橋は人を殺すことを躊躇したりしないだろう。
これでよかったんだ。

「クソッ!」

そんな風に考えると、三橋は改めて自分をプログラムに参加させた奴に対する怒りがこみ上げて来るのを感じた。
この俺様、三橋貴志をこんな気分にさせるとは。
許すまじ。

【須王環@桜蘭高校ホスト部 死亡】
【残り22人】

17 :金髪男子のコロシカタ編 :2010/03/12(金) 21:31:07
【E-7 東崎トンネル付近/一日目 午後】

【三橋貴志@今日から俺は!!】
【状態】右腕付け根に刺し傷(軽傷だが少し痛みはある。ひとまずの手当てをしました) 
    疲労(小) 静かに深く怒り 表面的には精神安定
【装備】FN M1906(5/6)、鉄扇(重さ600g程度)
【所持品】支給品一式×2、シュノーケル、水中ゴーグル、十徳ナイフ、割り箸一膳
     ランダム支給品0〜3
【思考】
基本:
軟葉高校の他の仲間たちはどう考えても人殺しなどできない。
だから、仲間を守るためには、他の学校の人間を殺すことも仕方ない。
全てが終わった後、プログラムの関係者全員に復讐する。
1:付近にいるであろう、銃撃戦を行った者を殺す
2:あいつら(坂持)に復讐する方法を考える
3:須王環のデイバッグの中身を確認する

18 :名無し草:2010/03/12(金) 21:35:19
代理投下終了

環も死んだか……寝ている所を殺す
まあ、当然といえばそうか

19 :名無し草:2010/03/13(土) 18:34:26
スレ立て、代理投下乙です


三橋による須王殺害ですか、まだ智が葛藤の上須王殺害とか
近くにいる銛が首を絞めている最中に乱入とかの方が物語が拡がったかも
地図からみて東北の状況をみると少し惜しい気がしますね
とは言え、投下乙です

20 :名無し草:2010/03/14(日) 03:21:34
投下乙。
もうはっきり言わせてもらうと、手っ取り早く死者数を増やしたいだけなのが見え見えだった。

21 :名無し草:2010/03/14(日) 04:47:10
投下乙

ちょっとこれは酷いかも……
このロワの色からみて序盤なら問題なかった(他のロワなら恐らく序盤でも大荒れ)、でも◆xXon72.MI.氏にはそろそろリレーの大切さを学んでほしい
天満死亡から始まって死亡話の度に言うべきか悩んできましたが、経験を積めば理解できると思い今まで住人として助言をしてこなかったことも確かです
なので氏だけの責任ではないのですが、このままでは書き手が氏一人になる可能性すらあります

残り人数が半数近くになりつつある今、すべてのキャラにそれなりのフラグがあります
その中で今までのように殺すことだけが目的の話が投下されていくと他の書き手の意欲を削ぐことになります
このスレはロワというキャラ同士が殺し合いを行う企画ですが、リレー企画でもあります
もしかすると、氏にとっては次からは簡単に殺さないようにしようと思っていたかも知れませんが、他の住人からすると今回が限界のようにみえます

殺害話は当然ドンドン書いてもらって構わない、でもリレーとして何かを残して書くように意識してもらいたい
第三者である読み手がはっきりとわかるほど、前の話を書いた作者ががっかりするような話はやめてほしい
天満死亡話の時に一言それを言えばよかったのですが……
今回の話にしても>>19のようなやり方もある
ロワ全体の中でこういう死亡話があってもいいと思うのですが、氏が連続で同じような死亡話を書いてますよね?
この話の投下前に予約が入った段階で遠まわしにそろそろ空気読もうというレスもありました
氏のことが嫌いなわけでなく、これからも投下を続けていくと思っているからこそ今まではっきりと言えなかったのですが
『そろそろリレーを意識して書こうよ』
この一言です。だらだらとここまで書きましたが、本当にこの一言

今回の話は氏の判断に任せますが、これから先SSを書くときに今回のことを頭に入れてもらえると助かります


22 :名無し草:2010/03/14(日) 16:45:53
修正版が投下されました
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11074/1205571346/l50

23 :名無し草:2010/03/14(日) 22:12:00
荒れるかと危惧してたけどひとまず丸く収まってよかったかな

24 :名無し草:2010/03/14(日) 22:47:48
まあね、あと>>21読んで気づいたけど残り人数的に既に中盤と呼べる状況なんだな

25 :名無し草:2010/03/17(水) 15:56:54
原作でも、第一回放送越えたところで中盤戦ってサブタイついてたっけ

26 :名無し草:2010/03/30(火) 23:49:19
手元にある原作読むと中盤戦ってサブタイがついてから第一放送だったね
まあ、大して変わらないかw

27 :名無し草:2010/04/02(金) 19:34:48


28 :名無し草:2010/04/07(水) 23:08:50
完結まであと5年はかかりそうだな・・・

29 :名無し草:2010/04/08(木) 02:17:37
残り人数だけで言えば結構進んでるけど、物語としてはまだまだこれからだからなあ
まあ焦らずに書き手が書きたい時に書いて投下してくれればいつか完結するよ

30 :名無し草:2010/04/11(日) 13:22:10
もっと盛り上げていこーぜ

31 :名無し草:2010/04/11(日) 22:13:21
書き手の数が少なくて投下ペースも遅いからねぇ
素材はいいと思うんだけど

32 :名無し草:2010/04/12(月) 00:12:30
のんびりやろうよ。ただの読者だけど

33 :名無し草:2010/04/16(金) 20:20:16
自分用に作った全員の現在の状況の覚え書き。書き手には役立つかもしれないので投下しときます。
ついでに地図の更新しようと思ったんだけど、技術がないので誰か職人を頼む……!

5/5【BAMBOO BLADE】(室江高校)
◯栄花段十朗
46 桂言葉とアトミックファイヤーブレード ◆xXon72.MI.
(栄花段十朗、川添珠姫、桑原鞘子、桂言葉)
【G−3 平瀬村分校内/1日目 日中】
◯川添珠姫
46 桂言葉とアトミックファイヤーブレード ◆xXon72.MI.
(栄花段十朗、川添珠姫、桑原鞘子、桂言葉)
【G−3 平瀬村分校内/1日目 日中】
◯桑原鞘子
46 桂言葉とアトミックファイヤーブレード ◆xXon72.MI.
(栄花段十朗、川添珠姫、桑原鞘子、桂言葉)
【G−3 平瀬村分校内/1日目 日中】
◯千葉紀梨乃
57 入れ違いとすれ違い ◆xXon72.MI.
(千葉紀梨乃、周防美琴、川田章吾、伊藤真司、花澤三郎、坊屋春道)
【I−5 道/1日目 午後】
◯宮崎都
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【C−2/1日目 午後】

34 :名無し草:2010/04/16(金) 20:21:02
2/5【School Rumble】(矢神学院高校)
●一条かれん
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【D-7 村役場/一日目 午後】
◯沢近愛理
58 盗聴!発射!回復! ◆FBECTmyb.U
(七原秋也、沢近愛理)
【F-1 民家/一日目 午後】
◯周防美琴
57 入れ違いとすれ違い ◆xXon72.MI.
(千葉紀梨乃、周防美琴、川田章吾、伊藤真司、花澤三郎、坊屋春道)
【I−7 診療所/1日目 午後】
●塚本天満
42 閃光弾と銃声がもたらしたもの ◆xXon72.MI.
(阪東秀人、美浜ちよ、塚本天満、一条かれん)
【C-3 道/一日目 午前】
●播磨拳児
02 ブラックとサングラス ◆ZONiWzG9zM
(宮崎都、播磨拳児)
【A-2/1日目-早朝】

35 :名無し草:2010/04/16(金) 20:22:17
2/5【あずまんが大王】※学校名不明
●神楽
49 逃げろ ◆xXon72.MI.
(神楽、榊、銛之塚崇)
【D-7 北側の道/一日目 昼】
●春日歩
28 <ハロー、グッバイ> ◆.b1wT4WgWk
(春日歩、滝野智、三橋貴志)
【F-8 無学寺/一日目 昼】
●榊
49 逃げろ ◆xXon72.MI.
(神楽、榊、銛之塚崇)
【D-7 北側の道/一日目 昼】
◯滝野智
52 生きろ ともちゃん ◆xXon72.MI.
(滝野智)
【F−7/林の中/1日目 日中】
◯美浜ちよ
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【D-7 村役場/一日目 午後】

36 :名無し草:2010/04/16(金) 20:23:23
3/5【バトル・ロワイアル】(城岩中学/城岩学園)
●相馬光子
03 SAMURAI GIRLS ◆wyvk2HGxbg
(相馬光子、桂言葉、川添珠姫)
【H-4/森の中/1日目-早朝】
◯川田章吾
57 入れ違いとすれ違い ◆xXon72.MI.
(千葉紀梨乃、周防美琴、川田章吾、伊藤真司、花澤三郎、坊屋春道)
【I−7 診療所/1日目 午後】
◯杉村弘樹
44 熱血漢がお嬢様に出会ったら?編 ◆xXon72.MI.
(高崎秀一、杉村弘樹、宝積寺れんげ)
【F−5 東端 山中/1日目 昼】
◯七原秋也
58 盗聴!発射!回復! ◆FBECTmyb.U
(七原秋也、沢近愛理)
【F-1 民家/一日目 午後】
●三村信史
05 橋の上の二人 ◆nbevOugVxc
(塚本天満、三村信史)
【D-3/道/1日目-早朝】

37 :名無し草:2010/04/16(金) 20:24:27
1/5【School Days】(榊野学園)
●伊藤誠
51 世界がいないということ ◆xXon72.MI.
(伊藤誠、清浦刹那)
【E-2 菅原神社/一日目 日中】
◯桂言葉
46 桂言葉とアトミックファイヤーブレード ◆xXon72.MI.
(栄花段十朗、川添珠姫、桑原鞘子、桂言葉)
【G−3 平瀬村分校跡付近/1日目 日中】
●加藤乙女
11 おおきく振りかぶって ◆fM3LvKazag
(加藤乙女、周防美琴)
【H-6/草むら/1日目-朝】
●清浦刹那
51 世界がいないということ ◆xXon72.MI.
(伊藤誠、清浦刹那)
【E-2 菅原神社/一日目 日中】
●西園寺世界
51 世界がいないということ ◆xXon72.MI.
(伊藤誠、清浦刹那)
【E-2 菅原神社/一日目 日中】
※ 死体になってからの移動、死亡時は【C-2/1日目-午前】

38 :名無し草:2010/04/16(金) 20:25:10
3/5【今日から俺は!!】(軟葉高校)
●赤坂理子
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【D-7 村役場/一日目 午後】
◯伊藤真司
57 入れ違いとすれ違い ◆xXon72.MI.
(千葉紀梨乃、周防美琴、川田章吾、伊藤真司、花澤三郎、坊屋春道)
【I−7 診療所/1日目 午後】
◯高崎秀一
44 熱血漢がお嬢様に出会ったら?編 ◆xXon72.MI.
(高崎秀一、杉村弘樹、宝積寺れんげ)
【F−5 東端 山中/1日目 昼】
●田中良
01 魔王が目覚める日 ◆FBECTmyb.U
(鳳鏡夜、田中良)
【F-7/林の中/1日目-早朝】
◯三橋貴志
59 金髪男子のコロシカタ編 ◆xXon72.MI.
(三橋貴志、須王環)
【E-7 東崎トンネル付近/一日目 日中】

39 :名無し草:2010/04/16(金) 20:25:57
3/5【クローズ】(鈴蘭高校)
●加東秀吉
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【D-7 村役場/一日目 午後】
●桐島ヒロミ
36 睡蓮花 ◆.vzz4BKePU
(鳳鏡夜、桐島ヒロミ、宝積寺れんげ)
【F-6/山中/1日目-昼】
◯花澤三郎
57 入れ違いとすれ違い ◆xXon72.MI.
(千葉紀梨乃、周防美琴、川田章吾、伊藤真司、花澤三郎、坊屋春道)
【H−7 焼場付近/1日目 午後】
◯阪東秀人
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【D-7 村役場/一日目 午後】
◯坊屋春道
57 入れ違いとすれ違い ◆xXon72.MI.
(千葉紀梨乃、周防美琴、川田章吾、伊藤真司、花澤三郎、坊屋春道)
【I−5 道/1日目 午後】

40 :名無し草:2010/04/16(金) 20:26:52
4/5【桜蘭高校ホスト部】(桜蘭高校)
◯鳳鏡夜
55 鏡夜の追跡 ◆xXon72.MI.
(鳳鏡夜)
【F-5/神塚山頂上/1日目 日中】
◯須王環
59 金髪男子のコロシカタ編 ◆xXon72.MI.
(三橋貴志、須王環)
【E-7 東崎トンネル付近/一日目 日中】
◯宝積寺れんげ
44 熱血漢がお嬢様に出会ったら?編 ◆xXon72.MI.
(高崎秀一、杉村弘樹、宝積寺れんげ)
【F−5 東端 山中/1日目 昼】
●藤岡ハルヒ
37 <さらば愛しき蠅たちよ> ◆.b1wT4WgWk
(七原秋也、藤岡ハルヒ)
【F-2/民家/1日目-昼】
◯銛之塚崇
49 逃げろ ◆xXon72.MI.
(神楽、榊、銛之塚崇)
【D-7 北側の道/一日目 昼】

計 23人/40人

41 :名無し草:2010/04/16(金) 21:06:36
一カ所ミスった。
●塚本天満
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【D-7 村役場/一日目 午後】
※ 死体になってからの移動、死亡時は【C-3 道/一日目 午前】

42 :名無し草:2010/04/16(金) 21:08:04
地図上での位置確認用の覚え書きも落としときます。

行/列:Aー2
 場所:
  時間帯:一日目 早朝
   ●播磨拳児

行/列:C−2
 場所:
  時間帯:一日目 午後
   ◯宮崎都

行/列:Dー3
 場所:道
  時間帯:一日目 早朝
   ●三村信史
行/列:Dー7
 場所:北側の道
  時間帯:一日目 昼
   ●神楽、榊
   ◯銛之塚崇
 場所:村役場
  時間帯:一日目 午後
   ●一条かれん、赤坂理子、加東秀吉、塚本天満(死亡時:Cー3道/一日目 午前)
   ◯美浜ちよ、阪東秀人

43 :名無し草:2010/04/16(金) 21:09:07
行/列:Eー2
 場所:菅原神社
  時間帯:一日目 日中
   ●伊藤誠、清浦刹那、西園寺世界(死亡時:C−2/一日目 午前)
行/列:Eー7
 場所:東崎トンネル付近
  時間帯:一日目 日中
   ◯三橋貴志、須王環

44 :名無し草:2010/04/16(金) 21:09:47
行/列:Fー1
 場所:民家
  時間帯:一日目 午後
   ◯七原秋也、沢近愛理
行/列:Fー2
 場所:民家
  時間帯:一日目 昼
   ●藤岡ハルヒ
行/列:F−5
 場所:東端の山中
  時間帯:一日目 昼
   ◯高崎秀一、杉村弘樹、宝積寺れんげ
 場所:神塚山頂上
  時間帯:一日目 日中
   ◯鳳鏡夜
行/列:Fー6
 場所:山中
  時間帯:一日目 昼
   ●桐島ヒロミ
行/列:F−7
 場所:林の中
  時間帯:一日目 早朝
   ●田中良
  時間帯:一日目 日中
   ◯滝野智
行/列:Fー8
 場所:無学寺
  時間帯:一日目 昼
   ●春日歩

45 :名無し草:2010/04/16(金) 21:11:10
行/列:G−3
 場所:平瀬村分校内
  時間帯:一日目 日中
   ◯栄花段十朗、川添珠姫、桑原鞘子
 場所:平瀬村分校跡付近
  時間帯:一日目 日中
   ◯桂言葉

行/列:Hー4
 場所:森の中
  時間帯:一日目 早朝
   ●相馬光子
行/列:Hー6
 場所:草むら
  時間帯:一日目 朝
   ●加藤乙女
行/列:H−7
 場所:焼場付近
  時間帯:一日目 午後
   ◯花澤三郎

行/列:I−5
 場所:道
  時間帯:一日目 午後
   ◯千葉紀梨乃、坊屋春道
行/列:I−7
 場所:診療所
  時間帯:一日目 午後
   ◯周防美琴、川田章吾、伊藤真司

46 :名無し草:2010/04/16(金) 22:39:27
再度ミス発覚 orz
◆xXon72.MI. さん、『それぞれの事情とそれぞれの結末』のちよと阪東の状態表、C-3の役場がD-7になってます。
なおしとこうかと思ったんですが、一応作品の一部ということで、勝手に訂正するのもはばかられました。

●一条かれん
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【C-3 役場近くの民家/一日目 午後】
●塚本天満
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【C-3 役場近くの民家/一日目 午後】
※ 死体になってからの移動、死亡時は【C-3 道/一日目 午前】
●赤坂理子
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【C-3 役場近くの民家/一日目 午後】
●加東秀吉
54 それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ◆xXon72.MI.
(宮崎都、一条かれん、美浜ちよ、赤坂理子、加東秀吉、阪東秀人)
【C-3 役場近くの民家/一日目 午後】

行/列:C−3
 場所:役場近くの民家
  時間帯:一日目 午後
   ●一条かれん、赤坂理子、加東秀吉、塚本天満(死亡時:Cー3道/一日目 午前)
 場所:村役場
  時間帯:一日目 午後
   ◯美浜ちよ、阪東秀人

47 :名無し草:2010/04/17(土) 00:05:25
ちょいちょいいじってたら地図できたからwikiにアップロードしました。
ホストが規制されてて、ページの編集はできません。誰か地図のページの画像を『-1.jpg』のファイルに変更頼みます。


★したらば/wiki管理人さまへ
某海外在住書き手でございます。海外からのwiki編集およびしたらばの書き込みが現在、できない設定になっているようです。
wikiはまだしも、したらばについては、何か書けても(まだ書けてないですが……)予約スレで予約できないという切ない状況です。
どちらも荒らしを呼び込む可能性があるので、自分だけの都合で解除をお願いすることはできませんから、管理人さまの判断を仰ぎたいと思います。

ただ、本スレで予約を宣言しても住民の皆さんに迷惑がかからないようなら、それでも自分は構いません。
かなりマイナーなホストだと思うので、さすがに本スレは規制されないだろうと思うんで。
いや、規制されたらホントにどこにも連絡できないという辛さはあるんですが、まあ、さすがにそれはなかろうと……。

48 :名無し草:2010/04/17(土) 15:43:01
したらば/wiki管理人です
海外からの書き込みですが、確かに規制させてもらってます
少しでも頭が廻れば判っていたことですが完全に頭から抜けてました申し訳ないです
ただ、海外からの規制自体を解くことは荒らしに対して無防備になり危険が伴います

解決案として、氏自体のIPホストさえ判れば許可できるようになるので
氏と自分が個人で接触するか、特定の時間に海外からの規制を全解除して書き込みをしてもらうかのどちらかになります
前者の場合、チャットでも用意するつもりですがどちらにしても自分と氏で時間が合うタイミングでないと出来ないので
日時を指定してもらえるでしょうか?自分は平日の深夜ならいつでも大丈夫ですが、休日は厳しいことが多いです

とりあえず現状は予約をされる場合、本スレにしてください
あと、地図などの支援に感謝!

49 : ◆xXon72.MI. :2010/04/17(土) 21:05:25
>>46
ご指摘ありがとうございます
おっしゃる通り、投下時にミスしていたところでしたので、wikiの方を修正しました

覚え書きの方も読ませていただきました
これだけでも、かなりボリュームありましたね

50 :名無し草:2010/04/17(土) 21:08:52
>>48
こちらこそ、個人の都合でお呼び立てして申し訳ないです。
海外からのホストの規制をすべて解くことの問題は十分理解できますので、
管理人さまのおっしゃる前者の案でお願いできればと思います。
そちらとコンタクトをとる前にうっかり何か書けた場合(可能性低いですがw)、本スレで予約しますね。

日本と違って予定通りに動くことの少ない国なので、突発の用事がはいる可能性もありますが、
一応当方の状況を記載しておきます。

月〜水:日本時間の26時ごろ(=火曜2時〜木曜2時)帰宅
木金:日本時間の24時より前に帰宅
土日:特別な予定がなければ一日中在宅

月〜水にすると管理人さまにだいぶ夜更かしさせることになって申し訳ないうえ、こちらがジャスト夕食の時間になるので、
できれば木曜23時〜金曜2時くらいか、金曜23時くらい〜土曜2時くらいでお願いします。
来週は今のところ特に予定がはいっていないので、木・金どちらも大丈夫そうです。管理人さまのご都合のよいほうでおねがいします。

51 :名無し草:2010/04/18(日) 13:11:26
>>50
了解です
こちらも木曜23時〜金曜2時、金曜23時〜土曜2時は空いているので
木曜日の方にしましょう、金曜日は予定が入ってしまった場合の予備日ということでお願いします
場所はレンタルチャットルームを用意したので、他の書き手さんや読み手さんが突入してくるのも有りだと思います

http://8519.teacup.com/gakusei21/chat

52 :名無し草:2010/04/18(日) 21:17:02
>>51
了解です。チャット無事入れました。
いろいろ準備していただいて、どうもありがとうございます。

それでは、木曜日よろしくお願いします!

53 :名無し草:2010/04/22(木) 21:47:46
>>51
すいません、チャットに入るのが23時半くらいになりそうです。
遅れますが、必ず入りますのでよろしくお願いします。

54 :名無し草:2010/04/23(金) 19:35:39
おお、まだ生きてたかw
嬉しいぞw

55 :名無し草:2010/04/23(金) 22:40:43
>>54
我らはエンディングを迎えるまでは死なんのだ!w

56 :名無し草:2010/04/23(金) 23:04:56
予約入ったかと思ったが違ったか……

57 :名無し草:2010/04/29(木) 00:02:14
多人数予約キター

58 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:33:12
1本目(桂/坊屋/千葉)投下します。もしどなたかいらしたら支援頼みます。さるさんくらったら時間あけて投下します。ご了承下さい。
タイトル、下が正式です。長くて名前欄に全部入りませんでした…。


The Gold Experience No.1:<黄金と路は交わらず少女は背を血色に染める>

 喉の痛みに耐えながら、桂言葉は道を急いだ。今の彼女は丸腰だ。この状態
で男性の参加者に襲われでもすれば、武器も持たぬただの女性である彼女にと
って、かなり不利な状況が生まれることは間違いない。それを自覚している桂
は、周囲にできる限り気を配りながら動く。遠目からでもすぐわかるような開
けたところは避けたかったので、わざと森の中を歩いた。相馬の死体のある場
所はあまり細かく覚えていなかったが、少なくとも道端ではなかったはずだ。
地図も何もなかったが、太陽の位置でおおよその方角はわかるので、もともと
いた場所に戻るのにはさほど支障がなかった。

(暗くなる前にたどり着かないといけませんね……明かりもないから、夜にな
 ったら下手に動けなくなる……)

 冬の陽が落ちるのは早い。もう随分と位置を低くした太陽は、しばらくすれ
ば滴るような赤に空を染めることだろう。そうなってしまえば、森の中を動く
のは容易なことではなくなる。この田舎なら星や月の明かりは期待できそうだ
が、それでも昼間と同じ条件とは言えない。デイパックを持たない桂は、当然
支給品のランタンも持っていなかった。自分の足許、手許を照らすほどの明か
りもない状態で迎える夜は、どうにも歓迎できはしない。彼女は幾分、焦りを
感じる。

(……誠くんは、どこにいるんでしょう)


59 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:40:07
 昼の放送では、伊藤誠の名前は呼ばれなかった。とはいえ、その身の安全が
完全に保証されているわけでもない。彼女は早く伊藤と合流したいと考えてい
た。学校対抗などというが、要するに、他を全て死んでしまえば終わりだ。桂
にとっては、それで済む話だった。他の同級生になど特に興味もなかったし、
その生死など知ったことではない。伊藤誠の希望がわからない以上、彼に会う
までは大人しくしていようと思っている彼女だが、正直なところ、彼以外の同
級生に気を払う必要は微塵も感じていなかった。桂にとって、同じ学校の人間
は守るべき仲間ではない。わざわざ消すほど邪魔な人間ではないが、どこで何
をしていようとどうでもいい程度の人間だ。それは、他の参加者たち――宮崎
都を除いて――とは明らかに大きくかけ離れた感覚だった。

 実際には、桂の知らぬところで伊藤誠の命はすでに尽きているのだから、現
実は非情なものだ。彼は2人の女に囲まれて、神社の境内で眠っている。彼を
求めてやまない彼女を置いて、他の女と逝ってしまった。もう数時間もすれば、
桂は伊藤の命が散ったという、重い事実を知ることになるだろう……が、今は
まだ、桂に真実を告げるものはいない。

 葉の落ちた木々の枝をかきわけ、桂は森の中を進む。一時間、いや二時間は
歩いただろうか、喉の痛みも随分と薄れたころ、木々の間に、地面に奇妙な格
好で盛り上がっている毛布を彼女は見つけた。それは何の変哲もないごく普通
の毛布だったが、森の中では、その幾分人工的な色がよい目印になる。

(……誰も、触っていないようですね……好都合です)

 ガサガサと枝をかきわけながら、彼女はそれに近づく。毛布の傍らにしゃが
み込むと、あたりを見回した。今のところ人の気配はないが、この位置からだ
と、近くを通る道が見える。そういえば、この道を行く途中で相馬に声をかけ
られたのだった。これでは誰かが通って自分の姿を見ないとも限らない。こち
らから狙えるのも確かだが、同時に向こうからも狙いやすい。あまり長居に適
した位置ではない、と判断した桂は、すぐに毛布をめくりあげる。

60 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:41:51
 彼女が命を奪った女は、生前の美しさを欠片も思わせぬ醜い表情のまま生首
になっていた。ご丁寧に、繋がっていたはずの頸部の付近に仰向けで転がされ
ていた生首は、しかし相馬の身体が俯せに倒れていたので、どうにも気味の悪
い光景をつくり出している。これをやった川添は、おそらく生首とはいえ、人
の顔を地面に向けておくというのに抵抗があったのだろうが、結果はなかなか
に悲惨であった。その横には、相馬の首に巻き付いていた首輪も転がっている。
桂はそれを持ち上げて、何とはなしに眺めてみた。もちろん、彼女の首にも同
じものが嵌っている。

(そういえば、これは爆発するんでしたね……)

 教室で見た、首輪の爆発。これで男子生徒がひとり死んでいた。何かリモコ
ンのようなもので操作していたけれど、恐らく中には爆薬が入っているのだろ
う。ならばひょっとして、何かに使えるかもしれない。桂はそう考え、その首
輪と、横に落ちていた、革の鞘つきの鉈らしきもの――どうやら相馬の支給武
器だったようだ――を相馬のデイパックに放り込む。相馬の荷物は、そっくり
そのまま持っていくつもりだったからだ。そのまま、バッグに突っ込んだ手で
中を探っていると、相馬の支給品の銃が見つかった。桂はそれを手にとり、す
ぐさまセーフティーレバーを押し上げると、制服のスカートのポケットにしま
う。それなりにサイズの大きい銃なので、外から見えないようにと、気を使い
ながら。

 そのとき、桂の耳に、何やら排気音のようなものが聞こえた。彼女は急いで
顔をあげ、前方に見える細い道を確認する。音は彼女から見て右手から聞こえ
てきていたので、桂は目をこらしてそちらを見つめた。

(スクーター、でしょうか……? そんな移動手段があったとは、気づきませ
 んでした……)


61 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:42:43
 まだ幾分距離はあるが、2台のスクーターがこちらに向かって走ってくる。
男がひとり、女がひとり。どちらも金色の髪をしている。制服の感じからする
と、互いに同じ学校の生徒のようには思えない。ということは、戦う気のない
2人、ということだろうか、桂は考える。けれども、戦う気のないふりをして
誰かに同行しながら、相手を利用しようと考える……あたかも彼女のような人
間もいないわけではない。自分自身がそうした人間であるぶん、桂言葉は疑い
深くなりがちだ。

 どちらにせよ、2人とも自分の学校の制服ではないし、当然ながら彼女の探
す伊藤誠でもない。それならばわざわざ接触する意味はなさそうだった。あち
らには男もいる。相手が何の武器も持っていないのなら、襲われてもこの銃で
片付けられるかもしれないが、何か武器を持っているとなれば面倒だ。同じ条
件となれば、2対1の上に相手に男がいる、というのは彼女にとって圧倒的に
不利な戦いになる。最悪の場合まで考えた結果、彼女は身を隠してこの場をや
り過ごすことを選んだ。

 ……しかしながら、隠れられる具合のいい場所、というのもあまりない。仕
方なく桂は、相馬の死体の上にかぶせられた毛布の下に隠れた。屍との同衾は
彼女にとってもあまり気持ちのよいものではなかったが、この際我慢するしか
ない。

 そうこうしているうちに、スクーターの排気音はだんだんと桂のほうへと近
づいてきた。このまま音が通り過ぎて、遠くなっていけばそれが一番望ましか
ったのだが、悪いことにそれは、彼女にかなり近い位置まできたところで停ま
る。何やら2人の話す声が聞こえてきて、しばらくすると枝葉を踏みしだき、
足音まで近づいてきた。

(……最悪、ですね)


62 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:43:41
 桂は溜息を吐きながら、ポケットの上から銃に触れる。毛布をめくられたら、
状況によっては撃たざるを得ないかもしれない。積極的に戦いを選ぶことはし
ないと決めたが、こんなところで命を落とすわけにもいかないのだ。毛布越し
で少しばかりくぐもった、暢気な声が桂の耳に響く。

『春道くーん、この毛布、中になんかある気がしますよ!』

 これなら、そう危なくはないかもしれない……女の声音に桂はそう考えて、
少しだけ唇の端をつり上げたのだった。


-----


 坊屋春道と千葉紀梨乃の2人は、比較的のんびりとした様子で、スクーター
を並べて走っている。彼らはどちらも、命に関わるような事態であるとか……
目の前に転がる死体であるとか……を、いまだ目にすることなく進んできた。
そういった意味では、どちらもまだ、このプログラムの非情さを生々しく体感
してはいない。

 とはいえ、坊屋は大切な友人である桐島ヒロミを失った。たくさんの思い出
を共有する、大切な仲間であった彼を失ったことは、坊屋の心に深い傷を残し
ている。だが彼はそれでも、友人の死を受けとめるだけの強さを持っている男
だった。泣くことも喚くことも、人にあたるような真似もせず、激しく、そし
て静かな怒りをひとりで噛みしめる強さ。己の動揺を千葉に見せぬよう、彼女
の前を辞する優しさ。どちらも、坊屋春道の拳に宿るものを思わせる。


63 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:44:48
 それに対して千葉は幸運にも、放送の時点で、まだどの友人も健在とわかっ
ていた。本当に誰かが命を落としたという事実、それもこんな短時間で10人
もの人間が亡くなるという事実には、とても強い衝撃を受けはしたし、自分の
横にいる坊屋の友人が逝ったことも、千葉の胸に影を落としはしたが……それ
でも、少なくとも……桑原も、川添も、宮崎も、栄花も、どこかで生きている。
それは、千葉の精神を強く保たせていた。

 だからこそ彼女は、友人を失った坊屋に対しても、彼女のやり方で十分に気
遣いを見せることができたのだ。千葉紀梨乃は、傷ついた坊屋を顧みずに甘え
るような、無神経な女ではない。彼女は、動揺の中にあってなお、目の前の坊
屋を気遣ってみせた。彼女が笑顔を向けることで、坊屋の荒れた心が癒された
のは間違いない。千葉は、人の胸の内をあたためる、優しい笑顔を持つ女だ。
彼女の明るさは、坊屋にとっても救いである。

 2人は互いに、互いを思いやりながらここまで来た。この島で初めて会った
相手だというのに、彼らは不思議なほどうまく互いを支えあえている。悲惨な
戦いがいくつも巻き起こるこの島で、それは奇跡のような出会いだった……そ
して、この2人が初めて目にする生々しい現実もまた、互いへの思いやりに端
を発する。

「は、は、はっくしゅん!」

 道中、千葉がひとつクシャミをして、その拍子にブレーキをかけた。坊屋は
それを見て、自分もスクーターを停めると、彼女の身体をいたわる言葉をかけ
る。

「キリノちゃん、寒いのか?」
「だ、大丈夫です! ちょっと鼻がむずむずしちゃって」
「いや、風邪ひいたらマズいだろ、これ着てろよ」
「えっ?! ダメですよ、春道くんが風邪ひいちゃいますから!」
「いーからいーから!」


64 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:45:38
 坊屋は自分の着ていたスカジャンを彼女に着せかける。女の子にこういうこ
とするの夢だったんだよなあ、などと思いつつ。千葉としては、確かにちょっ
と肌寒かったものの、ここまでさせるのは申し訳ない、と固辞しようとしたの
だが、坊屋はそれを許してくれない。仕方なく、彼の優しさに甘えることにし
たのだが、上がロングスリーブのシャツ一枚になった坊屋が寒そうで、どうも
気にかかる。

「あの、ほんとに寒くないですか? そのシャツ一枚じゃ……」
「ダイジョーブ! キリノちゃんはそーいうこと気にすんな!」
「……春道くん」
「さ、そろそろ行こうぜ。日が暮れねえうちに神社まで行ったほうがいいだろ?」
「……はい、あの、ありがとうございます!」
「いやー、どーいたしまして! はっはっはっ……」

 そんなほのぼのした会話を繰り広げながら、彼らは道を行く。しばらく、た
わいもない会話を続けながら走っていると、千葉が少し先の森の中に、何かが
落ちているのを見つけた。

「あ、あれってひょっとして……毛布じゃないですか?」
「ん? ああ、それっぽいな……なんであんなとこに」
「……あれ、誰のでもないですよね、多分」
「うん、まあ、要るものだったらあんなとこ置いとかねえだろうしな……もら
 ってこようか? 夜になったらもっと寒ぃだろうし」
「そうしたほうがいいかなって、私も今思ってました」
「よし、決まりだな」

 そう言って、坊屋はスクーターから降りる。千葉もすでに降りていて、彼よ
り先に毛布のもとに駆けていった。それを追って、坊屋が大股で森の中に入っ
ていく。

「春道くーん、この毛布、中に何かある気がしますよ!」


65 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:46:35
 まだ少し後方にいる坊屋に、千葉の声がかかる。それを聞いて、坊屋は何と
なく……これはもはや、何となく、としか言いようのない、嫌な予感がした。
こんな場所で、毛布が森の中に落ちていて、中に何かある。それは多分、あま
り見ない方がいいものが、中に入っているのではなかろうか……そういう、予
感だ。

「キリノちゃん、それ……」

 坊屋が言いかけたとき、千葉はすでに毛布の端に手をかけていた。角の部分
を持って、ぺらり、と軽くめくったその瞬間、ごろり、と転がったもの。

「ひっ……!」
「キリノちゃん!」

 ……それは、相馬光子の生首であった。

 坊屋の勘は正しい。この毛布の中には、見るべきでないものが二つも入って
いる。相馬光子の死体と、銃を携えた桂言葉だ。千葉は、布がめくれた勢いで
転がり出た生首に腰が抜け、すぐに持っていた毛布から手を離したので、桂の
姿は見ないで済んでいた。

 坊屋は、ぺしゃりと座りこんだ千葉に駆け寄る。生首を目にした千葉の顔は
蒼白だった。坊屋自身も、転がる首と目があってしまって一瞬吐き気を催した
が、何とか耐えると、千葉の目を手で覆い、力の入らないその身体を引き寄せ
た。

「キリノちゃん、しっかりしろ……もう、見ちゃダメだ」

 言いながら、坊屋はもう一度毛布と生首を見やる。この膨らみの具合からし
て、首だけでなく胴体も入っていそうだ。これ以上触らない方がいいだろう、
そう判断して、千葉をつれてスクーターを置いた場所に戻ろうとした、そのと
きだった。

66 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:47:37
 ……毛布の膨らみが、ほんのわずかに動いた。

 坊屋は初め、見間違いかと思ったのだが、しばらくそのあたりに視線を固定
していると、やはりわずかに動いているように見受けられる。呼吸の動き、と
でも言えばいいだろうか、人間が生きているが故の、隠しようのない動きだ。
坊屋は、千葉を背中にかばうと、渡されていた銃を手にとって構える。その行
動は言うなれば、喧嘩という形で……他人と戦うことを繰り返してきた坊屋の、
本能的な警戒だった。

 中に誰かいる、ということはつまり、ここで背中を見せて去ったら、後ろか
ら狙われる可能性がある、ということだ。坊屋は、頭でそこまで考えはしなか
ったが、本能的に状況を理解していた。

「……おい、中に誰かいるだろ、出てきやがれ」

 低い声でそう告げた坊屋の背中で、千葉がびくりと震える。坊屋としては、
生首に衝撃を受けている千葉をこれ以上、怖がらせたくはなかったのだが……
こればかりは、如何ともしがたかった。

 坊屋が毛布に照準をあわせたまま、微動だにせずいると……やがて、その毛
布が、べろり、と皮をむくように地面からはがれる。あらわになる相馬の首か
らの下の胴体、そして現れる――ひとりの、女。

「それをこっちに向けないでもらえませんか。何も……しませんから」


-----

67 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:48:48


 千葉が毛布をめくった瞬間、桂は息をひそめてじっとしていた。毛布の中か
らではあまり状況がつかめなかったし、自分のいる側とは逆の端をめくられた
ことは何となくわかったので、大人しくしている方がよさそうだ、とふんだの
だ。口調からして、どうみても攻撃的な相手ではなさそうだし、下手に動くよ
り、黙ってやり過ごそう、そう彼女は考えた。

 そして聞こえた女の悲鳴と、それをかばう男の声。これなら、2人ともすぐ
にこの場を去ってくれるだろう、そう桂は期待する。生首ひとつに動揺するよ
うな女を連れているのだ。これ以上、中を確かめようとは思うまい。そう考え
た桂は、できる限り呼吸を小さくし、息を止めていた。

 しかし、生きた人間であるが故に、それにも限界があった。呼吸にあわせて
ほんのわずかに上下する身体を、おさえることはできない。それを、坊屋はめ
ざとく見つけたのだった。

「……おい、中に誰かいるだろ、出てきやがれ」

 わずかに響く金属音と、今までとはうって変わった男の低い声に、桂はぴり
り、と緊張する。これはこのままやり過ごすことはできなさそうだ。彼女は毛
布の下で小さな溜息をまた吐いて、それから少し考えたあと、バッと毛布をめ
くってみせた。

「それをこっちに向けないでもらえませんか。何も……しませんから」

 そう言って桂は立ちあがる。銃は手にせず、ポケットに入れたままだった。
いきなり撃つことはないだろう、そのつもりなら毛布の上から撃てばいいのだ
から。ただ単に相手は、自分の存在を確認したいだけだ……そう読んで、桂は
わざと堂々とした態度をとったのだ。

68 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:49:30

「……ワリぃ、女の子とは思わなかった!」

 桂に銃を向けていた男の声は、先ほどまでの低いものから、すぐに調子を変
える。銃口も下がった。どうやら相手はフェミニストらしい、と桂は思う。こ
れは与し易そうだ。銃も持っていることだし、この際、一緒に行動して利用す
る、というのもありかもしれない。そう考えた彼女は、言葉を選んだ。

「驚かせてしまったようで、申し訳ないです……あなたがたが向こうから来る
 のが見えて、咄嗟に隠れたものですから」
「や、こっちこそゴメンな、こんなもん向けて」
「こんな、場所ですから……何があるか、わからないと思いまして……でも、
 よかったです……ここにいらしたのが、あなたのような、優しそうな人で。
 怖い人だったら、もう撃たれていたかもしれませんし……」
「いやぁ、だっはっは……優しそうなんて女の子に言われたの初めてだなぁ!」

 男は鼻の下をのばしてそんな台詞を吐いている。これならとりいるのは簡単
そうだ。桂はそう考えて、言いつのる。

「あの、ぶしつけなお願いで、とても申し訳ないのですけれど……もし、よけ
 れば……私も、ご一緒、できませんか……? ひとりでは、怖いので……」

 ゆっくりと、本当に怯えているかのような口調で、桂はそう口にした。男の
顔は、先ほどの警戒を解いたのか、幾分緩んでいるように思える。これなら、
うまくすれば……そう思った矢先、座りこんで男の後ろに隠れたままの女が、
口を開いた。

「は、春道くん……私、この人、怖いです……」

 面倒なことになった、と桂は思う。男の背中で怯えていたかと思えば、何を
言い出すのだこの女は。心の内で悪態をつきながらも、桂は表情を崩さない。

69 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 19:50:37

「……どうした、キリノちゃん」
「だって、この人……その、首……っ、のひと、がいる、とこに、いたんです
 よ……っ、普通の、顔で……!」

 ……まったく、首のひとつやふたつ転げていたところで何だというのだ。い
くら自分だって、こんなものと同じ布の下に進んで隠れたわけではない。仕方
がなかったのだ。桂は少し苛つきながら、女に言葉を投げる。

「私だって、したくてしたことではありません。さっきも言った通り、貴方た
 ちがこっちに来るのが見えましたので、咄嗟に隠れただけです……、私は丸
 腰でしたので、何かされても困りますから」


-----


「私だって、したくてしたことではありません。さっきも言った通り、貴方た
 ちがこっちに来るのが見えましたので、咄嗟に隠れただけです……、私は丸
 腰でしたので、何かされても困りますから」

 ……それはまあ、真っ当な言い分だ。そう坊屋は思った。真っ当なのだが、
どうも気に食わない部分がある。坊屋の目に映るのは、長い黒髪と美しい顔、
そして豊かな胸――どうしてもこれには目がいってしまった――を持った少女
の、腰のラインだ。

 坊屋は男として非常に正直であったので、女が毛布の下から姿を現したとき、
その容姿の美しさに一瞬、目を奪われた。そして、美しい女性に対する礼儀と
でも言わんばかりに、その肢体をきっちり眺めた。上から下まで、その衣服の
下の裸を想像していたとまでは言わないが、身体のラインをその目でしっかり
追ってはみた。男のさが、というやつだ。誰も彼を責めることはできない。

70 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 20:51:29

 そして坊屋は、その男の哀しい性質故に、気づいたのだ。女の魅力的なくび
れと、そこから熟れた曲線を描く、腰の右側。スカートのポケットがどうも、
無粋に膨らんでいた。はっきり言って、まともなものが入っているとは思えな
い膨らみだ。目をこらしてみれば、何か金属的なものが、ポケットからわずか
にはみ出している。

 確実ではない。確実ではないが……あれは、拳銃ではなかろうか。坊屋はそ
う考えた。実際に自分も持っているから、形から想像がついてしまったのだ。

 女が拳銃を持っていたところで、それ自体は問題ない。自分も持っているし、
支給されたなら身を守るために持つ可能性はあるだろう。だが、それを持って
いるのに、『丸腰』だなどというのはあまり好ましくない。それに、千葉が言
うとおり……屍と平然と同衾できる女というのは、いくら美人でもごめんこう
むりたい、と坊屋も思う。

 千葉は、毛布の下から現れた女を、本当に恐れていた。あんな怖いもの……
怖くて、悲しいものと一緒に、毛布の下にいられて、しかも全く平気な顔をし
ているなんて。どう考えても普通の神経じゃない、千葉はそう感じた。自分だ
ったら、いくら誰かが来て、隠れなければと思ったとしても、絶対にこの毛布
の下は選ばない。もし、中に何があるのか知らないで隠れようとしたのなら、
毛布をめくった瞬間に隠れるどころの騒ぎではなくなる。なのに、そんなこと
を普通にやってしまえる女が、千葉は本当に信じられなかったし、恐ろしくて
たまらなかった。だから、震えながら坊屋に訴えたのだ。この女には近づくべ
きではない、危険だ……と。千葉の心は、そう叫んでいた。

 千葉紀梨乃は、容易に人を拒むような性格の持ち主ではない。彼女にとって、
これはほとんど……人生で初めての、本格的な他者の拒絶、と言っていいかも
しれなかった。そんな千葉の心を知ってか知らずか……坊屋春道は口を開く。

「心配すんな、女の子に手ぇ上げたりしねえよ」


71 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 20:52:29
 坊屋は、桂の言葉に応えてそう告げ、それから続けて、こう言った。

「でも……な」

 その微妙な響きに、毛布の下から現れた女は訝しむように答える。

「……何ですか?」
「嘘はあんま、好きじゃねえな……ポケットから、見えてる」

 坊屋のその答えに、女は一瞬顔色を変えた。まるで仮面でもかぶったように、
ほんの一瞬、表情がそぎ落とされたのだ。それは、とても奇妙な顔で、坊屋は
少しばかり、胆の冷える思いがした。

 対する女……桂のほうは、自分の手痛いミスに胸の内で舌打ちしていた。銃
をポケットに入れたのは、武器を携帯するためには仕方のないことではあった
し、彼女の拾った相馬の銃が、少々サイズの大きい武骨なものであったことも、
どうにもならぬ問題だ。制服の上のジャケットの裾で隠れるだろうから、気づ
かれにくいだろうと思ったのだが、まさか見えているだなんて、思いもよらな
かった。ポケットに入れたときには十分に気をつかっていたから、おそらく毛
布の下から出てくるとき、スカートの布が気づかぬうちに引っぱられたか何か
したのだろう。全く、間抜けなことだ、と彼女は思う。丁度、この生首女の三
文芝居――相馬光子は、この銃をポケットの中で握りしめているのを見破られ
たのだった――のようではないか。

「……嘘をついたのは、謝ります……武器を持ってるなんて言って、攻撃され
 るのが、怖かったものですから」

 それでも冷静さを失わず、彼女は続ける。ここでうろたえては、逆におかし
な目で見られかねない。そう考えての、台詞だった。

「ふーん、そっか……じゃあ、しょうがねえな。女の子だもんよ」


72 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 20:53:23
 それに対する坊屋の答えは、実に暢気なものだったので、その後ろで千葉は
ぎょっと目をむいていた。女が銃を持っていながら、丸腰だ、などと言ったこ
とで、千葉の中での女の印象の天秤は、さらに悪いほうへと傾いたのだ。なの
に、坊屋は平然とそんなことを言う。

「……優しいんですね、春道クン、は」

 桂のほうも、少し安心したように口許に笑みを浮かべて、坊屋に答える。そ
れに対する坊屋の口調も、いたってのどかなものだった。

「いやあ……春道くん、って、いい響きだよなあ……」

 その言葉に、千葉が愕然としたのは言うまでもない。そんな話をしている場
合ではないのだ。彼女が思わず坊屋を諌めようとしたそのとき、坊屋はスッ、
と声のトーンを変えて、こう言った。

「……ただ、オレはどうも、キリノちゃんが呼ぶ『春道くん』のほうが好きみ
 てェだ」

 千葉はハッ、と顔をあげる。自然に上がった彼女の視線がとらえたのは、ス
カジャンを脱いで、シャツ一枚になった坊屋の背中……そこには、天へ昇る、
力強い龍の姿があった。

 ……坊屋春道は、わかりやすい女好きだ。かわいい女には目がない。女の胸
も尻も大好きだし、有り体に言えば、スケベだ。そして、それ故に、間違って
も女に手を上げたりはしない。そういう男だ。だが、だからといって……与し
易い男かと言えば、それは違う。

「だから、ワリぃけど……あんたとは一緒にいねえ方がいい気がする。できた
 ら女の子はみんな守ってあげたいんだけどよ、多分ホントはあんたも……そ
 れを望んでねえだろ」


73 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 20:54:17
 言い切った坊屋は、笑っていた。その顔に桂は、ただならぬ気配を感じて、
退くことにする。この男は、ただのフェミニストではない。言葉にこそしない
が、この男は自分にここを去れと言っている。この男の側から去るのではなく、
自分に、去れと。つまりそれは、自分に背中を見せるつもりはない、そういう
ことだ。坊屋が桂に示したのは、はっきりとそれを悟らせる物言いと、有無を
言わせぬ笑顔だった。

「……当たり、です。私は、ここからいなくなった方が良さそうですね」
「そうみてぇだ、ゴメンな」

 笑ったまま、坊屋は答える。今度は、優しい声で。桂は、自分が相手を読み
間違えたことを理解する。この男は、全くもって簡単な男ではなかった。

「謝られることではないと思います……それでは、荷物だけ持たせていただい
 て、私は退散することにしますね」

 この状況で、最大限の利益を得るために、桂はそう言った。荷物は実のとこ
ろ、相馬のものであったのだが、状況を知らない2人に、それを嘘と見抜くこ
とは不可能だ。坊屋も、それをとがめるような真似はしなかった。

「ああ、じゃあな……アンタも死ぬなよ」

 笑ってそう言った坊屋に、相馬の荷物を持った桂は、軽く会釈をした。それ
から、堂々と2人の前を横切っていく。横を通るとき、男がさりげなく女をか
ばいながら、自分に背を向けないように動いたのを、桂は見た。その様子を、
忌々しく思いながら通り過ぎると、男の背中から、か細い声が聞こえた。

「……気を、つけて、ね」

 怯えながら、それでもそう言う女を桂は笑う。まったく、お人好しというか、
偽善者というか。拒絶しておきながら、それでも自分を気遣ってくる女が、桂
は心底可笑しいと思った。

74 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 20:55:04

「ふふ……ありがとうございます。お二人ともお優しいんですね。それでは、
 さようなら……」

 そう言って桂は、ゆっくりと東に向かって歩き出す。西は禁止エリア、北は
自分が来た方向だし、南は箸に海があるだけなので、自然と行き先は東に決ま
った。その足取りに迷いはまるでない。

 桂の奇妙なほど真直ぐに伸びた背を、血が滴るような夕陽が染めている。真
っ赤に灼けたようなその背は、次第に遠くへと消えていった。


【H−4 森/1日目 夕方】

【桂言葉@School Days】
 [状態]:喉に軽いダメージ(治癒しつつあります)
 [装備]:ワルサーP38(9/8+1)、
     ワルサーP38の予備マガジン×5、鉈
 [道具]:相馬光子のデイパック、支給品一式、相馬光子の首輪
 [思考]
基本:全ては誠くんのために。優勝狙いだが最終的にどうするかは誠次第
1:東へ向かう
2:伊藤誠、清浦刹那との合流
3:川添珠姫には近づきたくない
4:誠の無事と意思を確認するまでは積極的に戦わない
  ただし誠を害する可能性がある者は何をしてでも殺す
※誠以外の人間に対して心を閉ざしました。普通に会話はできます。
 色々と変化していますが、本質は変わっていません
※伊藤誠と合流するか、何か言葉にとって衝撃的な出来事があれば元に戻るかもしれません



75 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 20:56:32
-----


「……キリノちゃん、大丈夫か?」

 銃をポケットにしまいながら、坊屋は千葉の身を案じる。千葉の震えは少し
おさまったようだったが、いまだに顔は青いままだ。

「あ……大丈夫、です、ごめんなさい、ちょっと、腰抜けちゃって……」

 千葉は足に力が入らない様子で、くったりと地面に座りこんでいる。その背
をそっとさすりながら――本気で心配しながらも、彼の心の片隅に『役得』と
いう言葉が浮かんでいたのは言うまでもない――、坊屋は声をかける。

「じゃあ、おんぶしてやるよ! ……このまま、ここには、いたくないだろ?」

 そう言った坊屋に、千葉は少し沈黙したあと、青白い顔で笑ってみせた。

「ありがとう、ございます……でも、その前に、この人、せめて、元に戻して
 あげたいです」
「キリノちゃん……」
「私、怖くて……怖くて、腰なんか抜かしちゃいましたけど、この人も、生き
 てたんだから……きっと、殺され、ちゃったんだから、せめて、ちゃんとし
 てあげたいんです」

 その台詞に、坊屋は胸を打たれた。そこに転がった恐ろしい生首を、千葉は
ちゃんと人間の一部として見ていたのだ。彼は、千葉の言葉に無言で頷くと、
転がる胴体をそっと持ち上げ、仰向けに戻してから、頭部を首にあわせて置い
てやった。途中、坊屋はその首に嵌っていたはずの首輪がないことに気づいて
訝ったが、さすがにそれを桂が持って行った、というところまでは考えが至ら
ない。そのまま、もう一度静かに毛布をかけてやって……2人は、名も知らぬ
遺体に手をあわせた。

76 :The Gold Experience No.1 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 20:57:27
 枝葉の間からこぼれ落ちる赤い光が、毛布と2人の金の髪を温かく照らして
いる。その光は桂の背を照らすものと同じであるのに、まるで違う色合いを持
って、そこに降り注ぐのだった。


【H−4 森 相馬の遺体近く/1日目 夕方】

【千葉紀梨乃 @BAMBOO BLADE】
 [状態]: 腰が抜けている、生首を見たことによる精神的動揺
 [装備]: 短刀 、原付スクーター
 [道具]:デイパック、支給品一式、チャッカマンなどの雑貨数点、常備薬
 [思考]
  基本:殺し合いはしない。
  1:室江高校のみんなを探す
  2:そのために島を一周する。次は鷹野神社経由で平瀬村へ
  3:春道を、信用しようと思っている
 [備考]
※春道から、加東秀吉以外の鈴蘭高校出身者の特徴を聞きました。

【坊屋春道@クローズ】
 [状態]:健康、精神的緊張感
 [装備]: ワルサーPPK(6+1)、改造ライター(燃料:90%)、原付スクーター
 [道具]:デイパック、支給品一式、救急箱、缶詰、私物のタバコ、ワルサーPPKのマガジン
 [思考]
  基本:キリノと仲を深める
  1:キリノを守る
  2:電話番号をもらう
  3:できれば、その先も……
 [備考]
※紀梨乃から、室江高校出身者の特徴を聞きました。


77 : ◆.b1wT4WgWk :2010/04/29(木) 21:01:46
1本目は以上です。明日以降、The Gold Experience No.2とNo.3を投下いたします。
3本あわせて、予約分の人員が全員登場となります。
問題点等ありましたら、ご指摘いただければ嬉しいです。できる限り速やかに修正に応じます。

78 :名無し草:2010/04/30(金) 00:04:21
おお、投下乙!
各キャラがらしくていいね
言葉と春道とキリノの味が出てる

79 :名無し草:2010/04/30(金) 00:16:01
おお、もう投下されていましたか
まずは1本目、乙でした

言葉と春道・紀梨乃が対峙する場面の緊張感がたまらないですね
2本目以降も待ってます!

80 :名無し草:2010/04/30(金) 21:06:31
投下乙です

ああ、三人ともいい味出てるな
言葉と対峙した二人はどうなるのか…
先が気になる

81 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 21:57:11
2本目(沢近/七原)投下します。誰かいらしたら支援頼みます。もしさるさんくらったら時間あけて落とします。よろしくです。
タイトルはやはり名前欄に入らないので下が正式です。


The Gold Experience No.2:<黄金の背に追い縋り少年は冬の路傍に立ちぬ>

 金色の髪が風にたなびく。長いそれは柔らかく揺れて、寒空に低くなった陽
光を反射する。きらきらと輝くそれは、何か神々しいもののように七原の目に
は映った。何も信じられるものも、拠り所にするものもない今の彼にとって、
沢近の存在は唯一のしるべのようなものであったから、余計にそんなふうに思
えたのかもしれない。自分の前を歩いている、年上の美女の背中を見つめなが
ら、七原はとぼとぼと歩く。彼女はどこへ向かうのだろう。自分はそれすら知
らない。民家のあった平瀬村の中を通り抜けていることと、何となくの方向は
わかるのだが、行き先は不明だった。

 あの民家で、眠っている沢近を見つけて……何というか、まあ、生理的にど
うしようもなかったとはいえ、何とも言いがたい罪悪感と羞恥の残る行為をし
てしまった彼の中には、未だ自己嫌悪という澱が沈殿している。その濁った色
の澱は、ずいぶん前から、彼の中に降り積もって層を成してはいたから、あの
行為をやらかしたときに初めて生まれたものではなかった。が、あれで余計に
その沈殿物のかさが増したことは間違いない。

 ……いったい、自分は何をやっているのだろう。必要なことは何もしていな
いくせに、余計なことはしてしまう。結局何もできない、弱くてどうしようも
ない自分。どうしようもなさすぎて、何をやるべきなのかすら、もうわからな
い、生きていていいのか、いっそ死んだほうがマシか、でも自分が死んだら同
じ学校の奴らは……ああ、どうしたら。七原は、そんな心の迷宮に入り込んで、
未だに出られずに彷徨っている。たまたま出会えた沢近の、長い髪のはなつ黄
金の光は、迷宮の出口からさしこむ救いの光かもしれない、そんな勝手な幻想
を抱きながら。


82 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 21:58:55
(……ホント、すげー、綺麗な色)

 あれは、陽の色だ。こんな冬ではなく、夏のそれ。真っ青に晴れた、夏の空
の太陽のような色を追って、七原は溜息を吐く。もはや身の内に「自分」のい
ない彼は、このまま自分の探す答えのある場所へと、沢近が連れていってくれ
ることを期待した。それは全くもって厚顔無恥な望みだ。七原は勝手に、沢近
を、自分の何かを変えてくれそうな相手だと思い込んでいる。

 あの家を出るとき、七原が沢近についていくことを選んだのは、何よりもま
ず、自分ひとりではもう何をしていいのかわからなかったからだ。あてどもな
く歩いていたときに、初めて会ったのが彼女だったから、縋ってしまった。正
直なところ、あのときの彼には誰でも良かったのだ。あの場で出会ったのが彼
女ではなくとも、七原はついていったに違いない。

 だが、七原が沢近を自らの混迷に対する光のように感じるのは、それだけが
理由ではなかった。あまりにも悲惨な経験をしながら、それでもなお復讐を誓
って未来へと足を踏み出すだけの強さを、彼女が持っていたからだ。自分のよ
うに絶望して止まったままでいるのではなく、理由がなんであれ、沢近は前へ
進もうとしている。その沢近の強さを、七原は羨まずにはいられない。彼は沢
近が、なぜそれほど強くいられるのかを知りたかった。彼女の強さの秘密を知
れば、自分も少しは前に進めるかもしれない、そう思ったのだ。

 視界を染める黄金は、寒空の下でも力強く光り輝いている。彼は、おずおず
と口を開いた。目の前で揺れる金髪に向かって、返答を期待しない、独白とも
とれる言葉をはなつ。

「……なあ、沢近、さん」




83 :名無し草:2010/04/30(金) 21:59:14
しえんどす

84 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 22:00:01
-----


「……なあ、沢近、さん」

 沢近は答えない。彼女にとって七原は、ただ勝手に後ろからついてくるだけ
の愚かな子供だ。一緒に行動をしているわけでもないのだから、わざわざ返事
をしてやる義理などなかった。大体にして、沢近はこの七原にあまり好意を持
てないのだ。寝ている自分の身体を前にしてあんなマネをした初対面の男に、
いい印象を持つ女がいるというのならば、その女は頭のネジがどこかはずれて
いるに違いない。

 ……まあ、女の側としては、自分の身体が男の性欲を刺激する程度の魅力を
備えている、という事実を確認できはするわけだが、そんなもの、真っ当に生
きる女なら……惚れた男が相手でもない限り、そうそう意味はない。特にこん
な場所では。自分の魅力で誰かを虜にして、利用しようとでも考えているのな
ら別だが、沢近はそういった類の女ではなかった。しかも彼女の場合、確認す
るまでもなく自分の容姿には確固たる自信を持っているわけで、さらには……
惚れていた、かもしれない男がもう、あのピンク女のせいで三途の川を渡って
しまっている、という最低最悪のオマケつきとくるわけである。それこそまさ
に……はしたない言い方をするのなら、クソの役にも立たない、というやつで
はないか。

 ……そうとはいえ、彼女は七原に対してそこまで腹を立てていはなかった。
もとより自覚済みの自らの美貌にのぼせたガキのやったことだし、自分の身に
物理的な危害は及ばなかったのだから。全く最低だとは思ったけれども、もう
今となっては大して気にもしていない……が、最初に傾いた印象の天秤はなか
なか戻るものではないのだ。しかも、そのあとに民家の中で話しかけたときも、
どうもこう、うじうじとした態度で煮え切らず、あげくの果てに『自分が殺し
たようなものだ』という相手までいるときては、好ましい要素など、どこを探
しても見当たりはしない。

85 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 22:00:54

 とはいうものの、七原からは重要な情報を得たので、それに対しては素直に
感謝している沢近である。そういう部分がきちんとしているのは彼女の美点で
あり、高慢さの鎧から時折のぞく可愛らしさの一端でもあった。沢近は高圧的
で物事をはっきり言い過ぎるし、ひねくれた感情表現をするきらいのある女だ
が、性根は真直ぐで柔らかい。だから七原にも、勝手についてくるのなら止め
はしない、と言ったのだ。あからさまに寄る辺のない顔を見せて縋る子供への、
それは彼女なりの優しさだった。

 ……かといって、それ以上の優しさを見せて甘やかすこともしないのが沢近
である。彼女は無言のまま、スタスタと道を急いだ。目的地、というのが特に
あるわけではないが、あのピンクの髪の女ともう一度出会う、というのは、今
の時点ではまだ、得策ではないと彼女は考えている。あの女に復讐するために
は、武器も手に入れなければならないし、もっと身体も回復させなければなら
ない。今、あの女がどこにいるかは知る由もないが、少なくとも自分があの女
と出会った場所……つまり、ここよりも北の方には行かないほうが、あの女と
はちあわせる確率は低いだろう。沢近はそう考えた。自分のいた場所が西端で
ある以上、残りの行き先は南か東ということになる。だが、南はHー3が17
時から禁止エリアになるはずだ。その付近に近づくのは避けたかったから、必
然的に行き先は、残った東となった。

 そうしたわけで、沢近は東に向かって平瀬村を抜けている。その後ろを、殻
を破れぬ間抜けなひよこが、追いかけてきているのだ。

「え、と……オレが勝手についてってるだけ、だしさ、だから、勝手に喋って
 るだけだ、わかってる、それで……いいんだ、それでいい、から……喋らせ
 て、ほしい」


86 :名無し草:2010/04/30(金) 22:01:01
支援!

87 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 22:01:57
 答えない沢近に、ひよこはなおも言いつのる。相変わらず彼女は無言だが、
実のところその言葉を聞いてはいた。勝手に耳に入ってくるものを、わざわざ
妨げようとまでは思わない。沢近にとって、聞くともなく聞くことになる七原
の独り言は今のところ、揺れる森の木々のざわめきと、大して変わりはしなか
った。

「オレ、さ、さっきの話、聞いて……思ったんだ、沢近さんが襲われたってい
 う……、ピンクの、髪の、女」
「……」

 ピンク、という色の名前にすら、はらわたの煮えくり返るほどに憎いあの女。
その相手について七原が話し出したことで、わずかに沢近の肩がぴくりと動い
た。それでも、振り返ることも、言葉を返すこともせずに、彼女は先へと進む。

「その、女のせいでさ、そんな……包帯だらけになるような、怪我して、それ
 でも、なんで……なんで、沢近さんは、そんな」

 初めからずっと途切れがちだった七原の言葉は、そこで一度、本当に途切れ
た。風の音とそれに揺れる枝の音、二人の足音以外に何もない、重たい沈黙を
しばし噛みしめたあと、七原はもう一度、口を開く。

「なんで、沢近さんは、そんな……そんなに、強く、いられるんだ」

 質問なのか。それともただ、言い切ったのか。もはや七原自身にもよくわか
らない、曖昧な語尾の『だ』が、冬の冷たく澄んだ大気にとける。しばらく、
先ほどのそれに似た沈黙が続いた。返答が期待できないことを知っている七原
は、沢近を待っているつもりでもなく、かといって完全に返答を望んでいない
のかといえばそうでもない、何とも形にならない茫洋とした思いを抱えて黙る。
沢近のほうは、何かに溺れてもがいている子供の、問いになりそこねた問いを
受けとめるべきか否か……そして、受けとめるのなら、どう返すべきか……そ
れを考える時間が欲しくて、口をつぐんだ。


88 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 22:02:42

(……アンタになんでそんなこと答えなきゃいけないのよ。だいたい、私が強
 いですって? バカね、そんなわけないじゃないの。強かったらあんな女に
 こんな目に遭わされたりしないわよ。あのピンク女を、もう、殺して……)

 そこまで考えて、沢近は口を開きかけた。だがもう一度、その花びらのよう
な唇を閉じる。この、自分の背を追ってくる子供が聞きたいのは、きっと……
そういう、物理的なことではないのだ。そう考えたから。

(……そういうことじゃなかったわね。でも、こんなとこにいて、強くなかっ
 たら、死ぬしかないじゃないの。あんな真似されて、じゃあアンタは泣き寝
 入りするって言うわけ? そのくらいならさっさと死んじゃえばいいのよ。
 泣いたって、喚いたって、何にも変わらないなら、怒るしかないじゃない。
 怒る、しか……)

 心の中の呟きを噛みしめるように、沢近は唇を噛んだ。怒るしかない、そん
なの、本当に強いとは言えない、そう知っていたからだ。なぜか、大切な友人
だったあの塚本天満の、明るく屈託のない笑顔を思い出して、沢近の胸は痛む。

(……違う。そうじゃない。こいつにこんなこと本気で答える義理なんてない、
 でも、そうじゃないのよ。ヒゲを殺して、この私をこんな目に遭わせたあの
 ピンク女を殺してやりたいのは、私が……)

 言葉を飲み込んだまま、それから数分、いや、十数分が過ぎた。長い沈黙は、
沢近の小さな、しかし、凛とした声によって破られる。

「……強くなんか、ないからよ」




89 :名無し草:2010/04/30(金) 22:02:47
頼まれちゃったら支援するしかないよね

90 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 22:04:00
-----


「……強くなんか、ないからよ」
「っ、……」

 その言葉に七原は、何かを言いかけて……言葉がうまく見つからずに、もう
一度、口を閉じる。その沈黙は、図らずも沢近に先を促すこととなった。

「……強くなんかないから、私はあの女を許せない。そうよ……絶対に許せな
 いから、あの女を殺すまで、死ねないのよ」
「沢近、さん……」

 七原は息を呑んだ。強くないから許せない。沢近はそう言った。あれだけ大
変な目にあって、それでも生きる意志を失わず、復讐という方向へと進もうと
している彼女の、その「強さ」の秘密が知りたいと七原は思ったのに。

(……ああ、でもきっとそうだ。本当に強ければ、許せてしまう)

 どれほどひどい目にあっても、罪だけを憎み、相手は許して笑う。きっとそ
れが、本当に強い、ということだ……それがきっと、本当の強さなのだ。罪を
憎んで人を憎まず……それが多分、本物。七原は理解する。全てをわかってい
ながら、沢近は、罪ではなく、人を憎んだのだ、と。

 弱いからこそ彼女は、苛烈に生きる。純粋な憎しみこそが今の彼女の、生へ
の原動力だ。弱さこそが彼女を生かし、弱さこそが彼女の足を進める。

 ――沢近愛理は弱い。だが……いや、だからこそ、強く生きられる。


91 :名無し草:2010/04/30(金) 22:04:46
頼まれなくても支援するぜ!

92 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 22:05:25
 七原は、沢近の背を見つめた。彼女は振り返らない、だが、その真直ぐに伸
びた背中は、確かな答えを七原に与えていた。ここに至って、信ずるものを失
った七原秋也の沢近への身勝手な期待は、幻想ではなく現実のものとなる。弱
くて何もできなかった、何も変えられなかった自分を恥じ、嫌悪していた七原
は、沢近の背中に一つの答えを見いだした。

(……弱くても、いいんだ)

 何もできない、無力で下らない自分。そんな自分が生きている意味なんてあ
るのだろうか、そう思いつつも、自分の命が失われれば友の命も失われる可能
性のあるこの状況で、死ぬ勇気も持てないままに彷徨っていた七原は今、ある
選択をした。ほんの、ちっぽけな……だが、何よりも本質的な、選択だった。

(……オレは、生きる)

 この先の展望なんてない。先のこともなにもわからない。でも、死ぬか生き
るか、そういう場面では、ただがむしゃらに生きよう。ただ、それだけを七原
は決めた。青い勇気を失った七原は、かつての七原には決して戻れない。でき
るのは、新しい七原秋也になることだけだ。全てを失ったなら、新しく作りな
おすしかないのだから。

「沢近さん、ありがとう」

 もう一度、口を開いた七原から発せられた声は、今までのものとはまるで違
う強さで響く。その声に何かを感じて、沢近は足を止めた。


93 :名無し草:2010/04/30(金) 22:06:13
支援

94 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 22:07:14

「オレ、これからどうしたらいいかなんて、まだわからないけど……それでも、
 できるだけ、生きようと思う」

 別人のような口調で言い切った七原を、沢近は振り返る。いつの間にか太陽
は、七原のむこう側にあって……沢近は、その眩しさに、目を細めた。

「だけどやっぱり、もう少し……沢近さんと、一緒にいていいかな?」

 七原は、逆光の中でもわかるほどに晴れやかな顔で、そう沢近に問う。今こ
こに、新しい七原秋也が、産声を上げた。新しい彼が、何者なのかはまだ誰も
知らない。良いものか、悪いものか、賢いものか、愚かなものか。今の彼は、
未来しかない赤ん坊だ。そんな彼は、沢近の目に初めて、清々しく映った。

「……勝手にすれば?」

 いつものようにひねくれた言葉が、少しだけ微笑んだ沢近の口をついて出る。
その視線の先では、傷だらけの七原秋也が、西の空を真っ赤に染めはじめた夕
陽を背負って、笑っていた。




95 :名無し草:2010/04/30(金) 22:08:08
とにかく支援

96 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 22:09:13
(Fー2 平瀬村内部 一日目/夕方)

【七原秋也@バトル・ロワイアル】
【状態】:疲労小 全身を負傷 失意を越え精神的回復 男としての爽快感
【装備】:手鏡
【所持品】:デイバック 支給品一式
【思考・行動】
基本:とりあえず、できるだけ生きてみよう
1:沢近さんと一緒に行こう
2:自分がこれからどうしていくか、少しずつ考えたい

【沢近愛理@School Rumble】
【装備】: 古い果物ナイフ(刃こぼれ・錆)
【所持品】: 自家製地図(禁止エリア、参加者を補完できるもの)
【状態】:身体的衰弱 腕と肩に銃のかすり傷(包帯ぐるぐる巻き)
【思考・行動】
1:ピンク女を殺す
2:美琴、かれんと合流
3:七原が一緒に来てもまあ、かまわない



97 :名無し草:2010/04/30(金) 22:09:37
べ、別にあんたのために支援してるんじゃないんだからね

98 :The Gold Experience No.2 ◆.b1wT4WgWk :2010/04/30(金) 22:12:13
2本目これで終わりです。皆さん支援ありがとうございました!
明日3本目投下予定です。3本目死ぬほど長いのでどうぞお暇な方よろしくご支援お願いいたします。

あと>>74にミステイク。
×南は箸に海 ◯南は端に海 です。失礼しました。

99 :名無し草:2010/04/30(金) 22:30:11
投下乙でした

沢近について行った七原は、復活の兆し?
原作の主人公はこれからどうなる!?
そして、そんな彼の先を行く沢近の行先は…どっちに転んでも室江の生徒に出会いそうだなあ

100 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 22:58:29
3本目(三橋/銛之塚/須王)投下します。これで予約分の人員全て登場となります。正式タイトルは下のです。
呆れるほど長いので、もしどなたかいらしたら支援お願いします。さるくらったら時間空けて投下します。ご了承下さい。


The Gold Experience No.3:<黄金を頭に戴いて狂王は屍の玉座に嗤う>

 早咲きの椿の花が、首を切られたようにぽとりと落ちた。苔むす岩の上で、
寒気のするほど紅く際立つそれに続くように、赤い液体が散っている。師走の
午後、覇気のない陽光はその温い赤を覚束なげに照らす。紅、赤、赤……辿り
ゆけば、鮮やかな道しるべの終わるそこで、二人の男が微動だにせず睨み合っ
ていた。

 一人は血塗れた日本刀を構えて立つ、長身の男だ。鋭い眼光。研ぎすまされ
た刃のごとき印象を与える彼は、まるで武士のようだった。その静かな、だが
曰く言いがたい威圧感のある佇まいは何の乱れも見せていないが、彼の左肩か
らは血液が滲みだし、制服の肩口を赤黒く染めている。そこを掠めた鉛玉に肉
を抉られた痕だ。深いものでないとはいえ、痛みを感じていないはずもなかっ
たが、彼は顔色ひとつ変えていない。

 もう一人は地面に片膝をついたまま、両手で小型の拳銃を構える金髪の男だ。
その銃口は間違いようもなく、自分の首筋に刀を突きつける男の左胸に向けら
れていた。鮮やかに染め上げられた前髪の隙間からのぞく眼光は、男の対峙す
る相手のそれとはまた違った強い光を放っている。この男もまた、言葉にうつ
せぬ苛烈な空気を纏ってそこに存在していた。刀を構える男からは背中側なの
で見えていないが、わざと短く誂えられた制服の右脇腹はスパリと裂けて口を
開けている。そこから見え隠れする皮膚には、浅いながらも刀に裂かれた幅十
センチほどの裂傷があり、血液がじとり、と染みだしていた。

101 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 22:59:31

 風に揺れる椿の葉の音と、鳶の鳴く細い声だけが、張りつめた静寂の中で奇
妙に響く。言葉のない二人の対峙は、ほんの数瞬前に始まった。そして彼らは
今、互いの隙を見出せぬままに動きを止めているのだ。

 この二人の男たちに何があったのか。そして今、何が起こっているのか。そ
れを知るには、時計を少しばかり巻き戻す必要がある。


-----


 寒空にかかった太陽が、一番高い場所から滑り落ちた午後二時頃、銛之塚崇
は道を急いでいた。すでにその手で葬った二人の女たちを追いかける際、邪魔
をさせないために気絶させた須王環を、少し離れた場所に放置したままだった
からだ。須王のもとを離れてから、まださほどの時間は経っていなかったが、
誰かが気絶している須王に気づいて襲わないとも限らない。榊と神楽を追いか
けたあのときの判断が間違っていたとは思っていない銛之塚だが、草木に隠し
たとはいえ、須王の身を危険に晒したことについては幾分の後悔があった。

(……誰にも見つかるなよ、環)

 ひき結んだ口許からその言葉がこぼれることはなかったが、彼の胸をよぎる
のは悪い予感ばかりだ。人を殺めたばかりの彼だからこそ、襲撃の可能性を高
く見積もってしまう。銛之塚は知っているのだ。もし自分が、草むらに気絶し
て倒れている男を見たらどうするか、を。それが自分の仲間でなければ、銛之
塚は容赦なく殺すだろう。わかり切った事だ。


102 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:00:48
 重なる落ち葉を踏みしだく銛之塚の足に力が入る。彼の心に、自らの手で葬
った二人の女たちへの哀悼の思いはすでになかった。いや……彼とて人の命を
奪うことにためらいが全くなかったわけではない。庶民の日常からはかけ離れ
た生活を送っていようとも、所詮は一介の高校生である彼にとって、他者を殺
害するという行為は、容易なものであるはずがなかった……本来ならば、だ。

 銛之塚には目的がある。同じ学校の人間を生かし、皆で元の場所に帰る、と
いう目的が。だが、それは表向きに過ぎない。仲間を守り、無事に帰る……そ
れが彼の希望だというなら、彼は藤岡を失ったとき、もっと――有り体に言う
ならば、ショックを、受けてもいいはずだった。須王のように、彼女への自覚
のない恋心を抱いているわけではないにせよ、藤岡の存在はすでにホスト部と
いう組織にとって大きなものとなっていたのだから。

 にもかかわらず銛之塚は、さほどの衝撃を受けることもなく……あくまでも
冷静に、放送の内容に対処している。彼にとって、彼女が欠けたことは「どう
でもいいこと」ではなかったが、大きく動揺するほどのことでもなかった。そ
れはつまり、銛之塚の真の目的が、「皆で帰る」ことではない、という事実を
示唆している。

 この戦いの始まった当初、銛之塚は、埴之塚の姿がこの島にないことを確認
した。つまるところ、彼は自らの主君をこの場で守る必要がなくなったのであ
る。だからこそ、彼の目的は「戦ってでも桜蘭の人間を守り、皆で帰る」とい
うものに姿を変えた。

 ……そう、彼が主君のもとに返るためには、仲間を多く生き残らせる必要が
ある。だから彼は他者を排斥してでも守るのだ、自らの仲間を。生まれながら
の従者たる彼にとって、主君のもとへの帰還とは、唯一にして崇高なる使命で
ある。「ひとごろし」という、高く厚い壁を越えてでも、遂げねばならぬほど
に。


103 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:01:48
 『島の中の全ての人間を客として扱う』『誰も傷つけるな』、と金髪の王は
言った。銛之塚はその言葉に頷かず、桜蘭生還の切り札となることを選んだ。
銛之塚の主君はここにいない埴之塚ただ一人であるから、彼は王たる須王の言
葉にすら、従う必要はないのだ。

 すでに銛ノ塚家と埴之塚家とは親戚であり、法律的には彼らの間に主従関係
などない。とはいえ、彼の身体に流れる血はその主従関係を破ることを良しと
しなかった。もはや遺伝子レヴェルで刷り込まれている従者としての本能は、
かくも強く彼を突き動かす。無論、彼の主君もまた、桜蘭の他の仲間が無事に
帰ることを望むであろうから、その意味でもできる限り仲間を守る必要はある
のだ。が、最終的には一人になったとしても、自分が主君のもとに帰れるのな
らそれでもいい……と銛之塚は心の奥底では考えている。ただし、それはあく
までも無自覚に、だが。

 本能の声を聞いて、榊と神楽を迷うことなく殺した彼は、自らの使命を果た
すために、すべきことをしたに過ぎない。その崇高な使命のために捨て石とし
た命を、なぜ悔やんだり、悼んだりせねばならぬというのか。死んだ命には、
それだけの価値しかない。心をよせるだけ時間の無駄だ。それよりも、自分の
守るべき者のもとに急ぐことが先決、そう銛之塚は考える。この場において、
そして埴之塚の従者として、全くもって彼は正しい。正しいが、それはもはや、
人間の持つべき何か大切なものを失った姿といえるだろう。それを咎めうる者
は、まだ……目覚めない。

 金髪の王はトンネル脇の草木に抱かれて、失意の中で静かに眠っていた。そ
こに現れた悪魔もまた金髪である事実を、もうすぐ銛之塚は知ることになる。



104 :名無し草:2010/05/01(土) 23:02:30
しえんしえん

105 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:03:01
-----


 「……よっしゃ……ヤルか」

 そう呟いてから、三橋貴志の手が倒れている男の喉元に伸びるまでは速かっ
た。もとより、腹が決まってしまえば無駄に迷ったりはしないのが三橋だ。こ
ういう場合、逡巡と言う言葉は、彼の辞書にない。

 手を頚にかけながら、三橋は自分と同じ金髪の男の顔を見やる。睫毛の長い
優男だ。男の顔立ちについては何ら感じるところもなかったが、自分が殺す人
間の顔くらいは覚えておこう、と三橋は思った。きっと自分は大阪の顔を忘れ
ない。それと同じように、この優男の顔も忘れないでいよう、と。

(あー……何つーか、ムニッつーかグニッつーかゴリッつーか、こう、気持ち
ワリーな、これ……)

 かつて下らない小物の命を奪いかけたときの三橋は、頭に血が上っていた。
おかげで、その男の首の肉の感触などは全くその手に残っていない。今は生温
い体温と、男の薄い皮膚の感触が手のひらから鮮明に伝わってきている。気管
が親指の下でグリュ、と逃げるのを感じて、何とも奇妙な心持ちになった。一
体自分は何をしているのだろう、三橋は思う。この男を殺すべきなのは確かだ
し、音も返り血も避けられる絞殺が方法として間違っていないのも確かだ、だ
から迷いはしないが、嫌悪感は拭えなかった。徐々に込める力を強くしていく
と、三橋の親指のある場所よりも上のあたりから、男の皮膚が次第に赤黒くな
ってくるのがわかる。それがどうにも気味の悪いものに思えて、少しばかり彼
は手の力を緩めた。

 ……そのとき、手のひらの下で喉元が不自然に動いた気がしたのだが、それ
を訝しむ暇など彼にはなかった。背中に尋常ならざる殺気を感じたからだ。


106 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:04:00
 すぐさま両手を優男の首もとから離した三橋は、後ろを振り向かなかった。
その一瞬が命取りになることを、本能が彼に教えている。何かが振り下ろされ
る、その気配。反射的に態勢を低くし、左に飛ぶ。鋭い切れ味の何かが、右脇
腹を擦っていったのを感じたが、その痛みを気にしているような場合ではない。
身体を捻って足を引きつけながら着地してすぐ、彼は敵の方向へと向き直った。
ポケットから素早く引っぱり出した自分の武器を即座に構え、力いっぱい引き
金を引くことも忘れずに。

 ズガァン、と銃声が響く。刀を振り抜いた直後の、わずかに隙のできた銛之
塚の左の肩口を、三橋の銃弾が抉りとる。この小型拳銃の撃った瞬間の反動は
それほどのものではないが、照準をきちんと合わせる間もなく引き金を引いた
ためか、銃口が上を向いたようだ。

(チクショウ、しくじった……!)

 左胸を狙った銃撃が上に逸れたことを悔やむ三橋の隙をついて、再び剣を構
えた銛之塚の冷たい眼が彼を見下ろす。けれども、首筋に銛之塚の冷たい刃が
触れかけたときにはもう、三橋もまた相手の左胸に照準を合わせ終えていたの
だった。


-----


(熱、い……)

 肩を撃たれた、その衝撃はかなり強かった。銃で撃たれたことなど、さすが
の銛之塚にもない。痛い、というより熱い、と感じる。血が流れだすのを感じ
ながら、しかし身体は勝手に刀を構えていた。そうでなければ、二発目の弾丸
がはなたれて、すぐさま死んでいただろう。

107 :名無し草:2010/05/01(土) 23:04:09
支援でござる

108 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:05:00

「……」

 しくじった、と銛之塚は胸の内で呟く。実際に口に出すことはしなかったが、
その声のない呟きには、ある種の驚嘆が滲んでいた。この謎の金髪男の恐るべ
き反射神経は、高い運動能力と戦闘力を誇る――その彼でさえ主君たる埴之塚
には及ばないのであるが――銛之塚にとってすら、驚きの対象であったのだ。

 地面に横たわる須王の身体に跨がり、首もとに手を伸ばしていた金髪――三
橋貴志――は、完全に銛之塚に背を向けていた。その無防備な背中を見た銛之
塚は、声を上げて須王に触れるのをやめさせることよりも、ひとおもいに葬っ
てしまえばいい、と考えた。そのほうが効率がいい、そう思える程度に、三橋
の背中は隙だらけだった。これなら、離れた場所から銃で撃ったりするより、
切りつけた方が確実だ……丁度、神楽を葬ったときのように。あのときも銃は
何発も外したが、刀を使ったときは一瞬で切り伏せたではないか。銃の腕に覚
えなどないが、竹刀といえど、剣の腕ならば覚えのある銛之塚の判断は、そう
したものだった。

 ……そして、すぐさま彼は、できるだけ気配を消して素早く三橋に近づく。

 銛之塚は、まるでよどみのない――それはもはや美しさすら感じさせた――
なめらかな動きで、必要な限り深く踏み込み、素晴らしいスピードで三橋の背
中に向けて刀を振り下ろした。本来、避けることなどできないはずの間合いだ
った。実際、銛之塚は剣を振り下ろしたとき、すでに殺害を確信していたほど
だ。刃が閃く残像さえ残りそうな、鋭い剣さばき。それにもかかわらず、銛之
塚の剣は布と皮膚を裂いただけで、虚しく宙を切った。

(馬鹿、な……!)


109 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:05:52
 ……まさかこの男、武道か何かの経験でもあるのだろうか。銛之塚は瞬間的
にそう考えたが、すぐにそれを否定した。もしそうした経験があるというなら、
あんなに隙だらけの背中を人に晒したりはしないだろう、と思ったからだ。信
じがたいことだが、この謎の金髪男は、自分が絶対だと感じた間合いですら仕
留められぬほどの速度で「ただ動いた」のだ……銛之塚はそう結論づける。そ
してその推察は正しい。三橋は、生来の反射神経に起因するスピードという能
力において、銛之塚を上回っていたのだから。いみじくも彼はかつて、ある敵
を前にしてこう宣ったではないか……『速いだけのパンチなら、いくらでも打
てる』と。

 三橋貴志は、武道も格闘技もやったことのない、ずぶの素人だ。ただ、生ま
れつき驚異的な反射神経と運動能力とを備えているだけなのである。銛之塚が
その身体に染込ませている、剣の心得のごときものは、三橋にはない。せいぜ
いが赤坂理子の家の道場で真似事をしたくらいで、そのときも結局は我流の喧
嘩に持ち込んでしまった三橋だ。剣と剣の勝負なら、初めから銛之塚に軍配が
上がっていただろう。修練の経験を持たぬ彼の身体は、銛之塚のように、その
瞬間瞬間での「正しい」型を覚えてなどいはしないのだから。

 だが、銛之塚が刀を振り下ろした瞬間、三橋のやるべきことはまずそれを避
けること、そしてすぐ反撃すること、その2つだけだった。だから三橋の身体
は勝手に動いたのだ。今そこにある危機を、最も高い確率で回避するために。

 刃の閃いたそのとき、三橋の身体が、いや、その身体を構成する細胞のひと
つひとつが、最速で反応した。右から左へと振り下ろされるその刀の軌道を避
けるために、三橋の本能は、自然に彼を左前方へと低い姿勢で飛ばせる。身体
を捻って地面に左から着地したときにはすでに、両足を胴体に引きつけていた
から、彼は瞬きほどの間もおかずに態勢を立て直した。片膝を立てて銛之塚に
向き直った三橋の姿に銛之塚は、背筋を冷たいものが駆け上がる、という感覚
を生まれて初めて味わった。


110 :名無し草:2010/05/01(土) 23:06:07
おお、どうなる?
支援

111 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:06:40

 ……確かに三橋は、彼の主君たる埴之塚に比べれば弱いだろう。本気の埴之
塚なら、そもそも銛之塚に背中などとらせないに違いない。だが、いくらあの
規格外の強さの人物を毎日眺めている銛之塚とて、その相手と本当の意味での
命のとりあいなどしたことはなかったし、する必要もなかった。埴之塚は彼に
とって、仕える相手でこそあれ、敵対する相手ではないのだから。今まで彼が
対峙してきた相手の中で、ここまで銛之塚を心胆寒からしめる男など、一人も
いなかった。

 初めて知る類の恐怖と、振り下ろした剣が獲物をしとめそこねたことに銛之
塚が気をとられた、そのほんの僅かの間に、三橋はポケットから銃を引っぱり
出し、引き金を引いてみせた。それは三橋にとっても、まだたった一度の経験
しかない行為であったから、急いで撃ってなお的に当てる、などという離れ業
は望むべくもない。かなりの近距離であったにもかかわらず、その銃弾が逸れ
たおかげで、銛之塚は生き延びた。そして逆に、銃を撃ったあとの三橋にでき
た一瞬の隙をついて、再び剣を構え、三橋の首に突きつけたのである。さすが
に首を刎ね落とすことまではかなわず、倒れている須王の脚を間に挟んで左右
にわかれたまま、両者睨み合いとなった。

 ここで話は冒頭に戻る……息のつまるような対峙はしかし、眠れる王の覚醒
によって、ある結末を迎えることになった。



112 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:07:41
-----


 喉を押しつぶされる強い痛みと、それが急に薄れる感覚に引かれ、須王環の
意識は僅かずつ浮上した。初めは事態が理解できなかったし、ゆっくりと瞼の
開かれた目にも、青い空しか見えなかった。何が起こったのだろう、と回らぬ
頭で思考を始めたそのとき、すぐ近くで響いた不穏な音――当時の須王にはわ
からなかったが、それは三橋が銛之塚を撃った音だった――で、須王の意識は
完全に覚醒する。咄嗟に起き上がろうとしたが、身体は意識よりも回復が幾分
遅れた。金縛りにあったかのように動かない四肢にゾッとしながら、意志に従
って動く眼球だけで、須王は音の響いてきた足下の方を見やる。

 その狭い視界にまず飛び込んだのは、血まみれの日本刀とその持ち主の銛之
塚の姿。三橋の金の髪も無論目に入ったが、地面に寝たままの彼の視野におい
ては、片膝をついた低い態勢の三橋ではなく、立っている銛之塚の方が先に目
に映る。しかもその視認した相手がよく知る人間であり、つい先頃、自分の延
髄を強打して「お客様」を追いかけていった銛之塚とあっては、彼の意識がそ
ちらにばかり捕われるのも無理はない。自然、須王の視線は、血に染まった日
本刀の刃から銛之塚自身へと移り、そしてもう一度刀身を柄から先へと辿った。

 ……その抜き身の刃が、今にも金髪の男の首を刎ねんと押し当てられている
ではないか。須王とて、金髪の男が銃を構えているのに気づかなかったわけで
はないが、立っている銛之塚と、膝をついている男との体勢の差からしても、
そのときの彼の目に、金髪の男は苦し紛れに銃口を向けている、というふうに
しか見えなかった。

 覚醒したばかりの意識、寝ていたために狭くなっていた視野、神楽と三橋の
血を吸って赤に染まった日本刀、銛之塚が須王の左の足許に立っていたが故に
見えなかったその肩の負傷、逆にそのためにはっきりと見えてしまった三橋の
首に突きつけられている刃、そして、銛之塚が須王の命令を聞かずに二人の女
を殺すために追いかけた、その事実。


113 :名無し草:2010/05/01(土) 23:08:10
 

114 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:08:45
 それら全てが須王の認識にフィルターをかけた。すなわち、銛之塚がこの金
髪の男を襲っている、と須王は瞬間、思い込んだ。まさかその金髪男が、自分
を先ほどまで襲っていたなどとは、知る由もない。いまだ意識に繋がり切らぬ
身体をほとんど無理矢理起こし、つぶれた声で須王は叫ぶ。

「っ、ダ、ぇだっ、銛先ぱ……っ!」

 言葉になり切らぬその叫びはしかし、二人の男の膠着状態を引き裂くには十
分だった。男たちはどちらも一瞬、隙をつかれた格好で視線を須王へやる。人
間は予測しない物事が起こると、どうしてもそちらを見てしまうものだ。彼ら
もまた、例外ではなかった。とはいえ、三橋は自分の首の左横に触れている刃
の感触で、ハッ、と事態を思い出す。そしてもう一度、対峙していた銛之塚へ
と目をやった。

 ……銛之塚の視線はまだ、三橋に戻されていなかった。自分の名を呼ばれた
ことについ反応してしまった銛之塚は、ほんの僅か、現状に復帰するのが遅れ
たのだ。それをみすみす見逃す三橋ではない。刃から首を反らしつつ、躊躇う
ことなく彼は引き金を引いた。

(今度こそ当たりやがれ、チクショウ……!)

 そう、今度こそ、弾丸は真直ぐに銛之塚の心臓をめがけて飛んでいった、は
ずだった。それが的を外したのは、三橋が照準を合わせそこねていたからでは
ない。銛之塚が三橋を殺害しようとしているのを止めようと必死になった須王
の動きが、邪魔をしたのだ。


115 :名無し草:2010/05/01(土) 23:08:50
支援やで

116 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/01(土) 23:09:39
 必死で起き上がった須王は、三橋が引き金を引くよりも先に銛之塚の腕に縋
りついていた。その重みで銛之塚の身体は右に傾く。そのために三橋の銃弾は
狙った心臓を大きく左に外し……銛之塚の左の二の腕の中腹に突き刺さり、神
経を傷つけて骨を砕き、止まった。その衝撃で銛之塚の身体は後方へと数歩後
ずさり、両手で握っていたはずの刀から、神経をやられた左腕が外れる。咄嗟
に銛之塚は、腕に絡んだままの須王を右手の力だけで振り落とし、必死で三橋
の首に向けて刀を振った。斜めに体勢が崩れたままのその一撃を、身体を縮め
ることでギリギリ避けた三橋は、三度目の正直、とばかりに銛之塚の胸めがけ
てまたも引き金を引いたが、それはまた、須王によって妨げられる。

「銛、せ、ぱっ……!」

 体勢を崩していた銛之塚の身体を守るように、須王は立ちあがって彼の前に
躍り出た。銃弾に背を向けた須王は、右の肩甲骨のあたりを撃たれ、あまりの
痛みに意識を飛ばす。

「……っああ!」
「環っ!」

 須王の悲痛な叫びに、銛之塚の彼を呼ぶ声が重なる。そのまま須王の身体は
銛之塚のほうへと倒れ込み、その重みを支える形で、銛之塚は地面に仰向けに
倒れ込んだ。

 ……そんな好機を、金髪の悪魔が見逃すはずもない。

 三橋はすぐさま、折り重なって倒れた2人の上にのしかかる。最後の抵抗と
ばかりに銛之塚が刀を持ったままの右腕を振り上げたとき、三橋はすでに銛之
塚の眉間に銃口を突きつけていた。


117 :名無し草:2010/05/01(土) 23:10:08
しえん

118 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:12:11

 くぐもった銃声が響く。小口径の非力な銃弾ではあったが、ぴたりと皮膚に
銃口をあてたまま撃ち出したそれは、銛之塚の前頭骨を砕き、三層の髄膜を突
き抜け……前頭葉の中間を、両脳の内壁を傷つけながら真直ぐに突き進み、間
脳で止まった。一瞬、銛之塚の身体はぶるりと大きく痙攣し、振り上げた右腕
がぐらりと傾ぐ。刀を離さぬままのその腕は、ド、と音をたてて地面に叩き付
けられた……それが、忠臣・銛之塚崇の、最期だった。


-----


 4発の弾丸を失いながらも、強敵であった銛之塚を倒した三橋は、よろよろ
と立ちあがる。不可抗力とはいえ、目立つ音を上げすぎた。早くこの場から立
ち去らねばならない、と彼は思う。しかし、さすがに戦闘の精神的なダメージ
が大きかった。肉体的にはさほどの傷は負っていないが、あまりにも激しい、
極限の攻防だった。三橋は、緩慢な動作で、脇に放り出したままになっていた
デイパックから水を出して口に含む。それでやっとひと心地ついて、先のこと
を考えはじめた。

(……チクショウ、すげー疲れた……あー……つーか、もう、これで3人かヨ、
 信じらんねェな……)

 春日歩を無学寺で殺害してから数時間、このほんの短い時の中で、これだけ
の数の他者を葬った自分に、三橋は愕然とする。今更のように、春日によって
つけられた右腕の傷がチリリ、と痛んだ。春日の命を奪って以来、胸の奥に宿
ったままの青い炎のような怒りが、また彼を包む。

(……こんなマネさせたヤツらは、絶対許さねェ)


119 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:13:05
 自分の誇りに傷をつけた、この下らない殺し合いを始めた奴ら。全部終わっ
たら、そいつら全員に絶対に復讐してみせる。三橋はその誓いを新たにした。
失われたものを取り返すためではなく、失った代償を相手に払わせるために。
そして、自分の誇りとすでに奪われた仲間の命、それ以上のものを何も失わな
いために。

「……おい、理子、お前……どこいんだよ、バカ女」

 ぼそり、と呟く三橋の頭にぼんやりと浮かぶのは、なぜか赤坂理子の怒った
顔だった。自分で思い浮かべるその顔に、チッ、かわいくねェ女、と悪態をつ
いたあと、ブン、っと一回頭を振って、倒れたままの男2人を見やる。これか
らどちらに向かおうか、考えているうちに、自分の右手の銃に視線がいった。

(あー、結構弾撃っちまった、武器足りねえ……)

 彼の持つFN M1906は、装弾数がマガジン内の6発と、薬室内の1発
……つまりは7発だ。そのうち1発を春日歩に撃ちこみ、今4発を使ってしま
った。となると、この銃にはもう、弾が2発しかないことになる。三橋自身は
この銃の装弾数までは知らないが、何となく拳銃の弾の数というものは5〜6
発くらい(これは割合一般的な認識と言えるだろう)、とイメージしているの
で、そろそろ弾がなくなりかけていることくらいは何となく理解していた。予
備の弾もないので、こうなると新たに何か武器があったほうが良さそうだ、と
彼は考える。

(どうすっかな……あー、でもあの刀はねーワ)

 銛之塚がいまだ、握りしめたままの刀に三橋は目をやる。血まみれのそれを
持って歩く気にはさすがになれない。背中の傷が痛むのを感じて、彼は眉をひ
そめた。あの血のつき方では、どう考えても、自分以外の人間も切っていたに
違いない。誰のものかもわからない血液がまとわりつく刀というのは、どうも
ぞっとしなかった。


120 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:14:07
 そこで三橋は、転がったままの須王と銛之塚のデイパックに手をつける。武
器が入っていないか、探すことにしたのだった。まず手をつけたのは、須王の
デイパック。中から、彼は手つかずのままになっている紙包みを発見した。

(何だ、こりゃ……)

 べりべりと紙を剥がしてみると、何やら棒状のものが出てくる。手でさわっ
た感触は、どうも羊羹か何かのような、微妙な柔らかさだ。全部外の包み紙を
剥がし終えてみると、それはなんと、ダイナマイトであった。

「お、おおー……」

 意外なものの登場に、三橋は奇妙な感嘆の声をあげる。包みの中にはそれが
3本、綺麗にゴムひもで結わえられて入っていた。せっかくなのでこれはもら
うことにしよう、と三橋はいそいそと、それを自分のデイパックに移す。それ
から他のものも確認してはみたが、須王の支給武器はこれひとつだったようだ。
ついでに食料と水も拝借して、銛之塚のデイパックに移る。

 こちらは、開けたとたんに拳銃2丁と予備弾が顔を出す。三橋はそれらを手
にとると、予備の弾丸がS&W M10のものであることを確認し、弾数の多
いそちらを制服のパンツの右ポケットに突っ込み、尻のポケットに予備弾を突
っ込んで、自分の持っていた春日の銃とグロック17を、デイパックのすぐと
り出せる場所にしまい込んだ。他に出てきたトランシーバーは、持って行くか
どうかで迷ったが、サイズが大きいことと、武器にはならないことを考慮して、
そのままにしておくことにする。さらに3人分の水と食料も確認したが、須王
の分をすでに手に入れていた三橋としては、これを全部もって歩くのは面倒だ
と感じたため、一食分だけをとり出すと、その場で腹ごしらえをして、あとは
そのままにした。


121 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:14:54
 そこまでやったあと、簡単に背中の傷を治療して、三橋はデイパックを背負
う。銃声を聞いて駆けつけてきた誰かとはちあわせたりするのは、今の疲労を
考えれば避けたいところだった。後ろを振り返ることなく、彼は早足で歩き出
す。赤らみはじめた陽の光が、彼の金の髪を照らした。その行く手に、何があ
るのかはまだ、誰も知らない。


(Eー7 東崎トンネル付近 一日目/午後)
※このあとどこに行くかは、あとのかたにお任せします

【三橋貴志@今日から俺は!!】
【状態】右腕付け根に刺し傷(軽傷だが少し痛みはある)
    背中の右側に幅十数センチの切り傷(軽傷だが痛みはある)
    どちらもひとまずの手当て済 
    精神的疲労(大) 静かに深く怒り 表面的には精神安定
【装備】S&W M10(6/6)、S&W M10の予備弾(14)、鉄扇(重さ600g程度)
    グロック17(5/17)、FN M1906(2/6+1)、ダイナマイト
【所持品】支給品一式、シュノーケル、水中ゴーグル、十徳ナイフ、割り箸一膳
     水と食料のみ2人分
【思考】
基本:
軟葉高校の他の仲間たちはどう考えても人殺しなどできない。
だから、仲間を守るためには、他の学校の人間を殺すことも仕方ない。
全てが終わった後、プログラムの関係者全員に復讐する。

1:疲れた
2:腹一杯で満足
3:これからどこに向かうか考える
4:あいつら(坂持)に復讐する方法を考える



122 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:16:04
-----


 須王環が再び目覚めたのは、三橋がその場を去ったあと、しばらく経ってか
らだった。三橋はあの戦いの最中、声を上げて意識を失った須王が死んだもの
と思い込んだが、実際には須王の命はまだ、繋がっていたのだ。彼の傷は致命
傷ではなかった。弾が入ったままの右肩甲骨の傷は、重傷であるにはちがいな
いが、命に別状はない。銃弾が骨で止まったおかげで、臓器に傷はついていな
かった。あのとき、彼はあまりの痛さで気を失ったに過ぎない。全く間抜けな
話ではあったが、おかげで三橋は彼を結果的に見逃すことになったのだ。

 ふらつく身体を支えて起きあがった須王は、自分の体の下にあった銛之塚の
遺体を見て、愕然とする。結局自分は銛之塚を守れなかった。いや、自分が、
銛之塚崇を殺したのだ。その苦い思いは須王を酷く苛んだ。

 三橋が銛之塚に向けて2発目の弾丸……つまりは、銛之塚の左腕を殺したあ
の弾を撃ったとき、須王は自分が状況を読み違えたらしいことに気づいた。も
とより頭の回転が速い彼は、ほんの一瞬前の自分が、様々な要因が重なったと
はいえ、とてつもなく大きな判断ミスを犯したことをすぐに理解した。

 銛之塚の刀を首に突きつけられていた金髪男は、苦し紛れとはいえ、銛之塚
を撃てる種類の人間であったのだ、そう認識しなおした瞬間、彼は縋りついて
いた腕から振り落とされる。そして銛之塚の一撃が空を切り、三橋がまたも銃
を構えた、それを見るか見ないかのタイミングで、須王の身体は銛之塚をかば
うように動いた。

 ほとんど無意識に身体が動いてそうしたのだったが、一度は銛之塚の命を救
えたものの、最終的には……須王の身体を支えた銛之塚が地面に倒れ、そこに
三橋が乗り上げて眉間を撃ち抜いたのだから、須王が銛之塚の勝機を奪った、
という言い方に語弊はない。


123 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:17:10
「もり、せんぱ、い……」

 須王の目から涙がこぼれる。仲間を守れなかった。守れないどころか、自分
が殺したようなものだ。この島の全ての人を「お客様」として扱って、全ての
人を救い出そうと決めた自分の、その判断は間違っていたのだろうか。自分の
その考えが、銛之塚を殺したとは言えないか。須王は自分を責める。

 王は傷ついた。深く、深く傷ついた。止めどなく流れる涙にぶれる視界の向
こうで、銛之塚はもの言わぬ骸となっている。その脇に転がる黒いデイパック
に、一瞬視線をとられた須王は、ハッ、と我に返った。

「あれは……!」

 三橋は、二人の荷物を引っ掻き回したあと、デイパックの口も締めずに放置
した。銛之塚のデイパックからは、彼が須王のために持って帰ってきたトラン
シーバーがとび出していたのだ。すぐにそこまで移動した須王は、それを起動
させてみたものの、トランシーバーというものの特性を思い出して、再びうな
だれた。トランシーバーは、相手方がそれに対応する受信機を持っていなけれ
ば、連絡を取ることができないタイプの通信機だ。つまるところ、彼の望む、
政府側との交渉には使えない。

 とはいえ、これを銛之塚が持ってきたのは、間違いなく自分のためだ、と須
王にはすぐ理解できた。通信手段を欲しがった自分のことを考えて、彼はこれ
をわざわざ持って帰ってきてくれたのだろう……それなのに、自分は。またも
落ち込みかけた須王だが、トランシーバーを目にしたことで、当初自分がしよ
うとしていたことを思い出し、何とか精神の安定をとり戻した。

(……そうだ、この島の全員を、救ってみせるんだ……キングとして!)


124 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:17:57
 今、ここで自分は大切な先輩の命を、自分の判断ミスがもとで失った。しか
し、だからといってそこで泣いて喚く、それが王のすることであろうか。違う。
ひとりの兵が倒れたとき、それにうちひしがれて心折れるようなことがあって
は、王として立つことはできない。どれほど傷つこうと、どれほど悔やもうと、
王は、人の上に立たねばならないのだ。それは王として生まれたものが、望む
と望まぬとに関わらず……果たさねばならぬ、使命であった。

 銛之塚を殺した男。あの金髪の男のことを、須王は確かに憎いと感じた。だ
が、結局は……こんな殺し合いの場に自分たちが放り込まれる、その状況以上
に憎むべきものなどありはしない。ならば、金でも、権力でも、何でも使って
この場を抜け出して……こんな状況をつくり出した人間には、それ相応の償い
をさせねばならない。何としても。

 奇しくも、須王は三橋と同じ答えを掴んでいた。この場を抜け出し、この場
に自分たちを誘い込んだ人間に、償いをさせる。全く同じ答えでありながら、
須王のそれはさらに懐が深かった。三橋は、全てを殺し、抜け出して……その
上で全てを償わせよう、そう考える。それに対して、須王は全てを救い、抜け
出して……その上で全てを償わせよう、そう考えていた。

 ……須王環の二つ名は王であり、三橋貴志の二つ名は悪魔である。光り輝く
黄金の髪をした二人の男は、まさにその名にふさわしく、この島で生きている。

 須王は背の傷の痛みに耐えながらも、優雅に立ちあがって腕を組んだ。彼は
傷ついた心のままに、何とか立ちあがってみせたのだ。もう一度、王として。

(……これからまずどうすればいいか、それを考えないといけない。そうだ、
 何よりも、我が娘ハルヒを捜さなければ。それから、通信手段の確保。でも、
 まずその前に、銛先輩を……)


125 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:18:55
 またも流れ出しそうになる涙を堪えながら、須王は銛之塚に向き直る。その
右手に握られたままだった刀をそっととりあげて、左手とともに胸の前に持ち
上げた。あまりうまく両手指を組ませることはできなかったが、足の向きを直
して、見開いたままだった目を閉じてやれば、それなりに棺の中の遺体のよう
には見える。顔に流れ落ちた血をそっと拭いてやり、傍に咲いていた紅い椿の
花を、落ちないように静かに手折ると、その痛々しい眉間の銃痕の上に置いて
やる。

「こんなことしか、できないけれど……」

 呟きながら、須王は銛之塚の傍らに跪き、黙祷を捧げた。言葉にすることす
らできぬ重たい後悔と、深い悲しみ、言い知れぬ怒り、今までの彼の何もかも
に対する感謝……その全てを、言葉のない祈りで捧げた。

 それから須王は、もう一度銛之塚の荷物に手を触れる。トランシーバーだけ
をとりだそうとして、自分の荷物の中に食料と水がないことに気づく。銛之塚
の荷物には逆に、数人分のそれが詰められたままだ。須王は少し考えたが、人
の食料に手をつけるというのは、いくらそれが亡くなった仲間のものとはいえ、
好ましいこととは思えなかった。銛之塚の荷物の口を締めると、先ほど整えた
遺体の脇に置く。

 ……そして、この先の道を決めようと、自分の荷物から地図を引っぱり出し
たとき、それは起こった。

 銛之塚は放送を聞いて、須王の参加者リストに死者の名と禁止エリアを記し
たあと、その二つを重ねてデイパックに戻していた。だから、須王は地図を手
にとろうとしたとき、同時に参加者リストも引き出してしまった。うっかり別
の紙も出してしまった、と思った須王は、それをバッグに戻そうとして……、
見て、しまった。

 ……藤岡ハルヒの名前に、鉛筆で黒々と、線が引かれているのを。


126 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:19:40
 須王は、瞬間、心臓が止まったかのような衝撃を受けた。なぜ、こんなこと
が。藤岡が死んだなんて、彼は知らなかった。聞いた覚えもない。嘘だ、これ
は、悪い冗談だ、そう思った。そこで、ハッ、と気づく。腕にはめていた時計
を見れば、とうに午後の16時をすぎている。なのに、自分は一度も放送を聞
いた覚えがないのだ。

 自分が気絶していた間に、放送が流れ……銛之塚が、その内容を記した。そ
うとしか思えなかった。須王は賢い男だ。それだけに、これほど確実性のある
推測を、嘘だと笑って済ませる愚かさを、持つことができなかった。

 ……藤岡ハルヒが、死んだ。

 その事実は、須王の何かを完全に壊してしまった。銛之塚の死を越えて、再
び王として立ちあがろうとしていた彼の、心の中の何か大切なものが、そこで
全て砕かれ……もう、還らない。

 リストを手に、ふらりと立ちあがった須王は、笑った。可笑しくて仕方がな
かった。何もかもが。藤岡ハルヒがいない。藤岡ハルヒがいない。藤岡ハルヒ
がいない……! 何と可笑しいことだろう。ほとんど、発作のように須王は笑
い続けた。体中がぶるぶる震え、もう、笑うことしかできなかった。背の傷の
強烈な痛みすら、もはや遠い。

 ……もうこんな世界は、消えてなくなればいいのだ。

 笑い続けて、手に持っていたリストはぐしゃぐしゃにつぶれ……声が嗄れて、
喉からヒュウヒュウと奇妙な音が鳴り始めたころ、そこに立っていたのは……
沈みはじめた太陽の真っ赤な光に灼かれる、気のふれた王様だけだった。




127 :The Gold Experience No.3 ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 00:21:04
【銛之塚崇@桜蘭高校ホスト部 死亡】


(Eー7 東崎トンネル付近 一日目/夕方)
※このあとどこに行くかは、あとのかたにお任せします

【須王環@桜蘭高校ホスト部】
【状態】:右肩甲骨付近に盲管銃創(重傷) 完全に気がふれている
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、食料と水なし、トランシーバー
【思考・行動】
基本:こんな世界は消えてなくなれ
1:こんな世界は消えてなくなれ

注)須王は藤岡の死のショックで気がふれ、怪我の痛み等は忘れています。
  なお、銛之塚の遺体の横に、彼の使用していた血まみれの日本刀が落ちて
  います。その他の武器は全て三橋が持っていきました。銛之塚のデイパッ
  ク内には、支給品一式の他、食料3人分マイナス1食、水3人分が入って
  います。




128 : ◆.b1wT4WgWk :2010/05/02(日) 01:37:35
全て投下終了です。長々とスレ占領して申し訳ありませんでした。支援していただいた方、ありがとうございました。
なのに結局途中でさるくらいました……無念。しかもこのレス直前にもさるをくらった。

一応、島の中の金髪5人を全員書いたつもりです。裏テーマは金髪3部作でした。
3本全てについて、修正すべき問題点等ございましたら指摘お願いします。できる限り速やかに対応いたします。

129 :名無し草:2010/05/02(日) 01:51:27
投下乙です!
支援したかったけどギリ間に合わなかった
それにしても三本目は……欝だ
銛先輩の死亡も哀しいけど、それよりも何よりも環が泣ける
原作通りだと確かにハルヒが死んだらこうなってもおかしくないんだよなあ
ロワの陰の部分を強烈に感じました

GWに相応しいSS三連発で嬉しいです

130 :名無し草:2010/05/02(日) 15:27:24
投下乙でした

モリ先輩が死んで、ハルヒの死を知ってしまったら、環はこうなってしまってもおかしくないですよねえ
この後どうなるのかなあ

そして三橋は、何だか危険な物を手に入れたなあ
金髪の悪魔よ、そんな物をどう使うつもりだ!?

131 :名無し草:2010/05/03(月) 06:16:17
おお、投下きてる乙ー
話自体も面白かったけど
こういう形の投下も面白くていいね

132 : ◆xXon72.MI. :2010/05/03(月) 14:14:03
そういえば、私のSS内で金髪がどうとか書いたことがありましたね
チャットでおっしゃっていたのはこういうことでしたかw

133 :名無し草:2010/05/03(月) 20:49:54
ああ…復活してていいわ…

134 :名無し草:2010/05/04(火) 15:25:52
またまた予約キター!
危険な組み合わせだ…

135 :名無し草:2010/05/04(火) 17:07:22
お、あそこからこの組み合わせか
一体どうなるんだ?

136 : ◆FBECTmyb.U :2010/05/11(火) 00:00:00
すみません。予約破棄させてください
一週間に渡るキャラ拘束、申し訳ありませんでした

137 :名無し草:2010/05/12(水) 22:57:51
どどんまい

138 :名無し草:2010/05/13(木) 00:35:18
そういうこともあるさ。どんまいです!

139 :名無し草:2010/06/13(日) 13:50:40
んん

140 :名無し草:2010/06/22(火) 07:25:27
ほしゅ

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